2015年10月7日水曜日

注目されるエコマテリアル③


<注目されるエコマテリアル③>タイトル

素材そのものが利用する時に環境に負荷がかからない、あるいは素材が環境改善に
役立つ機能を持つエコマテリアル(環境配慮型新素材)開発は日本が世界を牽引して
いると言っても過言ではないだろう。先回紹介した逆浸透膜(RO膜)、炭素繊維の他
製品数は枚挙にいとまがない。今回も今ホットな話題になっているエコマテリアルを
お届けする。

●N夜光(ルミノーバ)
従来の夜光顔料には「自発光性」と「蓄光性」の2種類がある。前者は放射線によって
一晩中発光可能だが、放射性物質が含まれている用途に制限があり、生産や廃棄にも
厳重な管理が必要。一方、後者は放射性物質が含まないが、長時間発光が困難で実用
的ではなかった。今脚光を浴びているN発光は放射性物質不要、しかも長時間発光を
可能にした。アルミナ酸塩化合物を主成分に希土類元素の賦活剤を添加焼成という
特殊な製法で製品化に成功した。このN発光の特長は①暗闇での長時間発光②残光、
輝度が従来の10倍③照射する光が強いほど光る④耐光性に優れ屋外使用も可能⑤化学
的安定性が高い⑥光が遠くまで届く⑦人と環境への負荷が少ない等が挙げられる。
現在、日用品、時計、自動車、野外用品等用途開発が進む。根本特殊化学が世界に
先駆け製品化して、世界シェア約80%を占めている。

●LED、有機EL
LED(発光ダイオード)は電圧をかけると発光する半導体の一種。電気エネルギーの光へ
の変換効率は90%以上で、蛍光灯の60%に比べるとはるかに高い。省エネ効率は群を抜
く上に長寿命が特長。漁船の集魚灯、信号機、自動車や鉄道車両、飛行機の照明等の
他、屋内の照明、屋外ディスプレイ、イルミネーション等用途が急拡大している。
最近では農業分野ではLEDの光源の色によっては、植物の成長促進、病気抑制等の効果
が認められ、植物工場にも使われている。
有機EL(有機エレクトロ・ルミネッセンス)は電圧をかけると有機物が発光する現象を応
用したもの。有機物の分子によって発光パワーが異なり、その用途は無限大といわれる
といわれている。有機物自体が発光することからLEDを上回る省エネ効果が得られるとい
う。現在、携帯電話ディスプレイ、薄型テレビ等に採用され、照明機器での実用化に向
けての開発も進んでいる。

●マグネシウム合金
実用金属の中でも最も比重が軽いマグネシウム。1・8という比重はアルミ二ウムやチタ
ンの3分の2、鉄の4分の1である。このため自動車、小型電子機器の軽量化による省エネ
向上を図る素材としてマグネシウム合金が広く採用され始めている。さらにマグネシウ
ム合金はリサイクルが容易である特長を持つ。マグネシウムは融点が低く、合金に使う
アルミ二ウムや亜鉛、マンガン等の量が他の合金よりも少ないのでリサイクルが容易だ。
マグネシウムは地球上で8番目に豊富な資源であり、さらに800トンの海水から約1トンの
マグネシウムが採取可能である。枯渇性の低い資源のひとつでもある。
次回は日本発の光触媒、植物由来のバイオプラスチック、植物インク等を紹介する。