2016年10月4日火曜日

環境ビジネス市場、100兆円へ拡大

環境ビジネス市場、初の100兆円の大台へ タイトル

環境省は2014年の国内の環境関連産業の市場規模が約105兆4133億円(前年比1.3%増)へ拡大。統計をとり始めた00年以降初めて100兆円規模になったとする推計をまとめた。雇用者数も約256万人と過去最多になった。~リード

●年々厚みを増す環境ビジネス市場
100兆円突破について環境省は電力の固定価格買い取り制度によって、再生可能エネルギー産業が急成長したことが貢献したと分析している。市場規模は00年の58兆と比べると約2倍に拡大している。さらに地球温暖化対策の新枠組みが締結された「パリ協定」が採択されたことを受け、今後も市場拡大が続くと環境省は読んでいる。
分野別ではペットボトルなどの廃棄物処理・資源有効利用が45兆円と最も市場規模が大きかったが13年よりもやや減少した。次いで、太陽光・風力発電などの再生可能エネやLED(発光ダイオード)などの省エネの関連製品を含む地球温暖化対策が約37兆円と推計している。
今回公表された数値は,しかし真に受けない方が賢命だ。補助金に支えられたり、売上至上主義で都合の良い売り上げを計上した企業も少ないと見るからだ。したがって市場規模の動きを知る目安、参考程度として留めたい。もっとも数字の内容はともあれ、率直な感想を言えば環境ビジネス市場は年追う毎に確実に拡大している。
●環境ビジネス本流は資源確保
我が国の環境ビジネスは第一次産業から第三次産業まで全産業に裾野を広げ、技術・事業のアイテム数は900余り、市場参入事業所は地域の産廃事業者を入れて数えると1万を超えた。
環境問題への取り組みに経済的インセンティブを与え、その取り組みを長期にわたり持続させるのが目的の環境ビジネスだが、1988年設立以来わたしらエコビジネスネットワークにとって常に底辺に流れるテーマは、環境というフィールドで括られる資源確保である。
「資源小国」日本にとっては資源の安全保障は今も昔も避けて通れない重要な課題で、日本の環境ビジネス市場においても同じこと。資源確保関連ビジネスが市場の主役であり続けることはまず間違いないと思われる。

●エネルギーの安全保障
エネルギー資源については海外に95%以上を依存する日本は国内調達可能な純国産エネルギーの資源開発が急務である。自給可能なエネルギーとして考えられるのが、太陽光・熱、風力、バイオマス、大・小水力、地熱などの再生可能エネルギーである。しかも、これら純国産自然エネルギーは、再生可能であり環境負荷が著しく少ないクリーンな資源であることだ。ちなみに海外に依存する化石燃料などのエネルギー資源は枯渇性が高く、採取・利用の過程で健康被害、環境負荷も高いのだ。
日本にとって再生可能エネルギーの利用促進、更なる産業構築こそが資源の安全保障の観点からも、脱原発や地球温暖化の要因のひとつであるCO2の排出削減に繋がるのだ。現政府の知見なき曖昧なエネルギー政策をよそに、企業の多くはこの方向へ確実にスマートに歩を踏みだしている。

●資源確保へ向けて広がる多様な事業
その他、資源確保に不可欠な事業として、省エネ・節電、エネルギーの高効率利用に係わる技術・事業、使用済み製品及び廃棄物のリーユース、リサイクルなど再資源化、建築・建造物の改装・改修、環境配慮型のエコマテリアル(環境素材)開発、植生を豊かに育む土壌改良など枚挙に暇がない。

2016年9月16日金曜日

欧米の建設市場は新築から改修・リフォーム市場へ

欧米の建設市場は新築から改装・改修、及びリフォーム市場へ

 国内には改装・改修が必要な老朽化した集合住宅が約250万棟(一般戸建住宅を入れると500万棟以上)は越えると言われる。これらに手を加え長寿命化を図って行くか、壊して建て直すか。国立競技場や築地市場(ここは土壌汚染問題含む)のように建て替え新築となると廃棄物処理、新しい資源投入など環境面で大きな問題を抱える。建設廃棄物は全産業廃棄物排出量の約20%を占め、最終処分場の埋め立て量は約40%に及ぶ。現在、この膨大な建設ストックをどうするかと言う真剣な議論が始まっている。同時にこの分野に「大きな事業チャンスあり」として浮上してきたのが改装・改修事業だ。新築における廃棄物の削減・有効利用、新たな資源投入などの環境負荷等を考えると、集合住宅等の建築物の長寿命化(ストックメンテナンス)の方がはるかにスマートだと言うことだ。既存の建築物の耐震を含む改装・改修の他、コンバージョン(用途転用)の事業がクローズアップされている。それに伴う各部屋のリフォームも商機が急増している。


●改装・改修工事とは
一般的に呼ぶ改装・改修工事とは、建築基準法では「大規模の修繕工事」「大規模の模様替え」という。まず「大規模の修繕工事」だが、建築物の主要構造部(壁・柱・床・梁・屋根または階段)の1つ以上について、ほぼ同じ材料を用いて、同じ形状・同じ寸法でつくり替え、性能や品質を回復させる工事のこと。一方、建築物の主要構造部のひとつ以上について、異なる仕様でつくり替え、性能や品質を回復させる工事を「大規模の模様替え」と言う。
改装・改修が必要な老朽化した建築物が抱える健康、環境への影響はことのほか大きい。建材、塗料に含まれるホルムアルデヒド(シックハウス症候群の原因物質のひとつ)やアスベスト(肺がん、悪性中皮腫等を引き起こす物質)等による著しい健康被害、都市部でのコンクリート建築・建造物の増大によるヒートアイランド、建築物を利用する際のエネルギーの浪費等さまざまな問題が顕在している。
改装・改修は建築物の構造維持、機能更新はもちろん、こうした健康、環境の負荷を改善しつつ、さらにそこに住むひとの快適な暮らしを提供することで、建築物にさまざまな機能を付加して資産価値を高める役割も果たす。
今後、高度経済成長期、及びそれ以降に建てられた老朽化した集合住宅の他、大型施設(公共施設、ホテル、旅館等)の改装・改修需要が年追う毎に伸びている。大手ゼネコンを始め、新分野進出の事業開発に熱心な地域の地場コンはこの分野での受注に動き出している。

●改装・改修事業に伴い各室のリフォームも急増中。
改装・改修事業の増大と同様に各室のリフォーム需要も拡大している。
新築時と同じ付帯工事が伴い、地域のリフォーム専門業者、ハウスメーカー、工務店、設備業者、便利屋等が本格参入してきている。また地域の日曜大工の材料提供ショップも忙しくなり始めたという話も。
さらに建物管理会社も改装・改修事業に乗り出している。建築・建造物の規模、あるいは行政の都市再生プロジェクトで再開発の対象となるような大型高層ビルから集合住宅、一般戸建住宅まで幅広い。
ちなみに欧米の先進国の建設市場は新築より改装・改修、そして各室のリフォーム市場が主流だ。国立競技場、日本青年館等アジアで最初のオリンピックであり、高度経済成長期を経て先進国の仲間入りしたシンボリックで文化的遺産として残すべきだった建築・建造物をいとも簡単に破壊して建て直すと言うスクラップ&ビルドの発想を問い直す時期にきているのだ。

2016年8月4日木曜日

植物工場のビジネスは限定的。

植物工場はビジネスとして極めて限定的


~過日、東京・国際展示場で開催していた「アグリビジネスJAPAN」をのぞいてみた。
国内外の約160余りの事業所が出展。農業従事者の出展が意外と少なくて、
目立って多かったのが家電、素材、機械メーカーの植物工場、施設園芸の出展だった。
そこで生産される植物のほとんどがレタス等の葉野菜、トマト、イチゴ類。
栽培技術は日進月歩の跡は見られるも、一番の課題はやはり生産者サイドの事業採算性。
ビジネスとして成立するのは極めて限定的だ。


●植物工場の現状
当日、会場内のあちらこちらに何層にも積まれたプランナーの中でレタス等の葉物類
ばかりが目に付いた。こうした自然・生態系から外れたところで食材を生産する植物
工場のビジネスは果たして可能なのか? 
そもそも植物工場とは何か?
植物工場のタイプは、大きく分けて太陽光型(LED併用を含む)と、太陽光なしで
LED光源利用の完全人工光型の2種類がある。
太陽光型は、温室型の半閉鎖環境で太陽光を基本的に利用。雨天・曇天時の補光、
夏季の高温抑制等により一年を通して計画生産が可能で、レタス類、ホウレンソウ
等の葉物類に加えて、トマト、イチゴ等を中心とした果菜類も栽培に適しているの
が特徴。また平面(1面)で栽培するため、栽培面積確保が容易であり、適正な収穫量
の調整も可能だ。
一方、太陽光を利用しない完全人工光型は、閉鎖環境内で計画生産を行う生産方式。
レタス、ホウレンソウ等を中心とした葉物類(果菜類は極めて限定的)の生産が多い。
多段栽培による栽培面積確保が可能となり、収穫量が多く見込まれて、大消費地に近
い(流通コストが安い)都市部周辺での設置適性が高いのが特徴。

●普及しない植物工場
この植物工場のキッカケは、2009年の農地法改正、及び経産省、農水省による植物工場
普及・拡大総合対策事業という補助金150億円付きの政策。スタート時は植物工場は約
50か所(ほとんどが全滅)。その後2011年東日本大震災による農地の津波による塩害、放
射能汚染を抱える被災地農家の復興の手立てとして植物工場への関心が再燃した。2013年
には177戸(大半は完全人工光型)となり、特に製造業などの異業種からの新規参入が増えた。
その背景には「技術栽培、設備)の進歩」「生産管理手法の確立」「コスト(栽培施設、設備等
のイニシャルコスト、光熱費、人件費、物流コストなどのランニングコスト)削減」により、農業
関連以外の事業者が参入する土壌が整ってきたからだと言う。
しかし植物工場の事業としての成功事例は10%未満だと言われている。

●ビジネスとしての現在は困難なのでは
時を経て今回の「アグリビジネスJAPAN」見学となった。
植物工場のほとんどが完全人工光型。展示事業者は家電、素材、機械メーカー等製造業が
多かった。聞けば「名刺交換ばかりで、商談成立までには程遠い」の声が圧倒的に多い。
現時点では設備の更なる改善は然ることながら、栽培ノウハウも未完成。それより何より栽
培された野菜の多くは出口(市場)が見えてこない。さらに野菜の生産コストが露地ものよりも
はるかに高い。植物工場産レタスの価格は1kg1000~1500円。露地もの3倍だ。
照明、エアコン代、水耕調整の手間ひま等が掛かり、併せて品質のばらつき、生産効率の
悪さを考えるとビジネスとして前途多難。産業に成り得ないと農業の難しさを知る農業従事者
は遠くから見て近寄って来ないといったところだ。
ただ成功の可能性として注目したいのは高付加価値の薬草・ハーブ、高級スーイツ用
のフルーツ類の栽培だった。

2016年3月16日水曜日

太陽光の他太陽熱利用を。。。

太陽光だけでなく太陽熱の利用も考慮したい

●太陽の熱利用の温水器
再生可能なエネルギー(自然エネルギー)の代表格は太陽光を利用した太陽光発電。
そこから得られた電力を全量買い取ってくれる制度が追い風となって、近年太陽発電
は急速に普及・拡大している。これからも太陽光発電は再生可能なエネルギーのトップ
ランナーとして走り続けるだろう。
この太陽光を電気変換する方法に対して、太陽の熱を利用したエネルギー利用が再び
注目を浴びている。太陽熱を集熱器等で集め、温水や暖房の熱源として利用しようと
するものだ。例えば給湯に使った場合、エネルギー変換効率(集熱効率)は40%以上
で、10%台の変換効率の太陽光と比べて断然高いパワーを持っている。

●利用施設が増大の可能性十分
太陽熱温水器で給湯すれば、夏場なら60℃以上の温水が得られるスグレものだ。標準
的な太陽熱温水器(集熱器面積6㎡、蓄熱漕300㍑)なら一般家庭が一年間に給湯で消費
するエネルギーを約95%(灯油換算で約455㍑)も削減可能なのだ。
考えてみれば電気や灯油等を使って水を温水に変えて使う事業所は少なくない。ゴルフ
場、スポーツ施設、老人介護施設等は、温水を風呂・シャワーや給湯等に使い、他の照
明やエアコン等のエネルギー消費よりも圧倒的に多いのだ。つまり太陽熱温水器の方が
はるかに省エネであり、エネルギーコストが低減につながるというわけだ。

●夏場の冷房にも使える
太陽熱を集める集熱器には、水に蓄熱する水式、空気に蓄える空気式に大別できるが、
水式は既存施設にへの後付けが可能であり、一方建物一体型の空気式は暖めた空気を
直接暖房に利用できるメリットがある。加えて熱利用と集熱の時間帯のズレで生じる熱
需要バランスを平準化させるための蓄熱漕や貯湯漕、熱交換器、ボイラー等の組み合わ
せで給湯や暖房を行い、さらに余熱を化学的に変換して夏場の冷房も可能となる。

●脱原発の有望産業として注目
太陽熱利用は1979年の第二次オイルショックによる原油価格の高騰の影響を受け、当時
は需要が増加したものの、その後の原油価格の鎮静化等によって1980年頃をピークに減
少の一途をたどる。しかし5年前の福島原発事故に因る脱原発、地球温暖化対策の有効
手段、再度、有望産業として注目したいけれど、どや。

2016年3月10日木曜日

バイオマス発電について

<木質バイオマス発電について>

 
過日、東京ビックサイトでの「第1回国際バイオマス発電展」をのぞいてみた。再生可能な

エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)と電力自由化が誘い水となり、国内各地で木質バイ

オマス利用による発電事業が始まっている中での開催だけに会場は数多くの発電関連設備

が展示され、来場者数も殊のほか多かった。

●木質バイオマス発電の難しさ
日本での木質バイオマス発電は採算の取れる事業としての成功事例はこれまで限りなくゼ

ロに近い。今回の展示を観て、日本のバイオマス発電事業は、
結論から言えば、過去も現在も実際のところ補助金ありき事業であって、商業ベースにの

った採算の取れた電源としては自立するのはまだ遠い先のことのように思えた。
木質バイオマス発電の場合、日本のFITの買い取り価格は未利用木材で1Kw時当り32円。こ

れは蒸気タービンによる5Mw設備で1トン当たり1万2000円のチップを燃料にしたケースだと

聞く。しかしこれより小規模の発電設備では昨年42円の買い取り価格を設定したとはいえ

、事業運用は難しいのでは。
したがって設備の電気出力がも大きい設備にならざるを得ない。大規模な設備ほど発電コ

ストが抑えられ、その分採算性だ高くなる。
この日の会場でも大手メーカーの大規模の発電設備が多く展示され、導入が提案され計画

されている。
しかし現実はシビアだ。

●発電よりも熱利用の優先を
それだけの大規模の設備を導入するとなれば回収不可能なコスト高、しかも設備稼働、事

業運用するには、現在の木質バイオマス資源の収集、効率的なエネルギー利用等の諸事情

を考えると、補助金利用しても持続可能な発電事業は困難で無理な話である。
では、どすれば良いのか? 答えはひとつ。まず現状を踏まえての適正な木質バイオマス

利用は発電優先の形態でなく、熱利用優先の方が事業採算性も高く手堅いと思われる。
英国あたりではFITから木質バイオマスを外し、代わりに熱の固定価格の買い取りを始めて

いる。

●地域によって上手なカスケード的利用システムの構築
日本では当面、地域で容易に手に入る木質バイオマスをまず熱源として利用し、次のステ

ップとして電気供給を考える。地域によっては身の丈に合ったコジェネ(熱電併給システム

)の導入を図るのが賢明である。
いずれにせよ、木質バイオマス利用の成功は質、量の安定確保の入口、そこから得られた

熱(電気)の受け皿の出口の確保が肝心だ。
入口と出口が確保されて、始めて適正な設備導入の計画を立てるのがオーソドックスであ

る。
熱(電気)の生産事業のための設備なので慎重を期したい。
ちなみにフランス・パリのCOP21で採択された温室効果ガス(CO2)削減、カーボンニュート

ラルの視点からも木質バイオマス資源の利活用はさらに高まることは間違いない。
聞くところよると、化石燃料を基準にすると木質バイオマス発電はCO2削減は0.5トン。一

方熱生産であれば約1トンの削減になるという。このことからも発電よりも熱利用優先の政

策、制度が立案されるのではないか?

2016年2月26日金曜日

環境ビジネス、ここがポイント

環境ビジネス、ここがポイント

大気,水質,土壌等の自然環境の保全,再生可能エネルギー(新エネルギー)の創出,エネルギーの省エネを含む高効率利用,資源・廃棄物の有効利用等に寄与する財(技術・製品)およびサービスの提供を目的とする環境ビジネスは,「環境の世紀」といわれる21世紀において,有望な成長産業として大いに期待されている。
 その成長性は,環境省の環境産業市場規模調査によると約93兆円及ぶ。一方,世界市場においても,日本企業の保有する公害防止,省エネルギー技術等の環境技術は,世界のトッププランナーとして優位性を確保し,海外に向けて輸出量を拡大している。

 環境ビジネス市場は現在,第1次産業から第3次産業まで全産業に裾野が広がり,参入企業は約1万事業書をを超え,約900アイテムの事業が創出され、さらに2011年3・11の東日本大震災以降の災害廃棄物処理の他,スマートハウス、スマートタウン等原子力発電に頼らない再生可能エネルギーや省エネ・節電,自家発電,蓄電等の市場が急速に拡大している。いってみれば,全員参加型の市場として環境ビジネスが形成されているのだ。
 そうした国内の多様な環境ビジネス市場で,これからも期待できる成長分野として挙げられるのが「資源確保」に係る資源分野だ。
 資源の大半を海外に依存する資源少国である日本にとって,資源確保は,今も昔も最重要課題である。まして,21世紀は既存資源の多くが賦存量の減少へ向かい,世界的な資源不足,価格高騰などが避けられない中で,日本経済のサステナビリティ(持続可能性)の観点から,避けて通れないのが「資源確保」にほかならない。日本経済の動向と密に連動する環境ビジネス分野においても主要テーマは「資源確保」であり,見逃せないビジネスチャンスでもあるのだ。

<エネルギー資源の確保>
●国内調達可能なエネルギー供給の確立
 エネルギー資源の95%以上を海外に依存する日本は,国内調達可能な純国産エネルギーの資源開発が急務である。海外依存に頼るエネルギー資源の多くは枯渇性が高く,採取・利用する過程で環境負荷の高い化石燃料として利用される”地下資源”である。そうした地下資源に対して,自給可能なエネルギーとして考えられるのが,太陽光・熱,風力,バイオマス,小水力,地熱などの再生可能エネルギーである地上資源である。しかも,これらの地上資源の特徴は,いずれも地下資源と比べ環境負荷が著しく少ないクリーンな資源であることだ。
 日本にとって「地産地消」の再生可能エネルギーの利用促進こそが,資源セキュリティからの観点からも重要課題であり,脱原発や温暖化の要因のひとつであるCO2の排出削減につながるのだ。現在,原発事故や再生可能エネルギーの全量買い取り制度実施などが強い追い風になり,再生可能エネルギー関連市場が急速に拡大中だ。将来的にわたり,再生可能エネルギーは化石燃料などの従来型エネルギーとのベストミックスを図りながら導入量を増大させていくことは確かである。それに伴い,風力、地熱、バイオマス等再生可能エネルギー技術・事業開発の高度化が進む。普及拡大する太陽電池については,技術革新、コスト低減を図りながらも、まだまだ市場拡大の余地は十分残す。出遅れている太陽熱利用も徐々に普及しつつある。太陽熱を集熱器に集め温水や暖房の熱源とするもので,太陽熱温水器で給湯すればエネルギー変換効率(集熱効率)は40%以上で,夏場なら60℃以上の温水が得られる。一般家庭の他,温浴施設,福祉・介護施設,ゴルフ場などの給湯機器としての需要が拡大している。そして再生可能エネルギーと従来型エネルギー網との系統連携,再生可能エネルギーを貯蔵する蓄電池,水素に変換して再生可能エネルギーを貯蔵する取り組み等が各地で広がるのは間違いない。
●バイオマス資源利用の拡大
 新たなエネルギー資源の確保や有機系廃棄物の資源再生の観点から,世界的にもバイオマス資源の需要は増大している。日本においてもバイオマスは全国に広く分布している。すでに利用が進んでいる木質バイオマス(製材残林,伐採・剪定木くずなど)の熱利用や発電利用が各地で行われている。また,下水汚泥,食品残さ,家畜糞尿などのメタン発酵によるメタンガス利用も事業化されている。
 海外では植物由来のバイオエタノールの生産量がじわりと増えている。日本でも独自に,木質系セルロースなどを原料としたバイオエタノール生産が実証段階ながら始まっている。今後は作付面積や収穫量が限定される資源作物以外の間伐材,草葉などのセルロースからエタノールを製造する事業が拡大してゆくだろう。それに伴い,バイオエタノール製造に係わるプラント,装置・機器開発が地域で進む。またバイオマスのマテリアル資源利用としてのバイオプラスチックはすでに電機・精密機器の部材の一部として実証的に採用され始めている。これらバイオエタノール,バイオプラスチックなどの原料の供給源は第一次産業であり,それが産業構造転換の契機になるだろう。
 そうしたバイオマス資源利用で、にわかに注目されているのが、間伐材や山に放置されている未利用材の燃料利用だ。日本の国土の約70%を占めるから森林からの木材を従来の建築材の用途に加え、純国産の再生可能なエネルギーとしての利用量アップが本格化するだろう。
日本の森林蓄積量は戦後の人口林等の増殖によって現在、約60億立方㍍で1976年の2倍に達したと言われ、しかも年間約1億8000立法㍍と増え続けている。森林の適正管理には常に成長率の70%前後の間伐が必要だが、国内の木材生産量は2000万立方㍍と言うから、間伐必要量の20%未満が現状だ。一方、ヨーロッパの森林利用の先進国では日本の約3倍の木材生産量に達している。その理由のひとつとして木材の積極的な燃料利用が挙げられる。中でもドイツでの木材利用の再生可能なエネルギー利用比率は27%と至って高いのだ。
こうしたバイオ燃料利用のトレンドを踏まえて、日本の各地の林業にもその余波がじわりと押し寄せてきている。

●グリーンな次世代エネルギーとして注目される水素
 有限な資源に代わり,水素が次世代のエネルギーとして注目されている理由は,その特性にある。地球上で最も軽く無色無臭の物質である水素は,水や有機化合物に含まれて無尽蔵に存在する。酸素と混ぜて燃焼させても,排出されるのは水のみと,CO2を出さないクリーンエネルギーだ。燃料電池は,水の電気分解の原理を逆に利用し,水素と酸素を反応させて電気を取り出す”発電機”だ。反応の際に発生する熱を給湯などに利用すれば,コージェネレーション(熱電併給)としてシステム化が可能になる。電気と熱を利用する燃料電池システムの総合エネルギー効率は80%程度に達し,年間で39%のCO2が削減できるといわれる。現在燃料電池は一般家庭用として2009年から定置型の「エネファーム」の名称で,量産化がスタートしている。定置型以外にも,燃料電池は携帯電話やノートパソコンなど小型電子機器向けに実用化されている。エコカーの最終形ともいわれる燃料電池自動車はいよいよ量産体勢に入りつつある。現在は都市ガスや石油から水素を回収しているが,将来的にバイオエタノールからの水素回収,水の電気分解による水素供給が実用化されれば,真の意味での水素文明社会が実現することになる。
●排熱・未利用エネルギーとその高効率利用
 排熱で一番多い熱量は事業所や家庭などから排出される下水道に含まれるもので,年間47兆5000億キロカロリー。一般家庭200万戸の冷暖房エネルギー量に匹敵するという。その他,地熱・温泉熱など未利用エネルギー資源量は3300万Kw(世界3位)。原発3基分の出力が可能。すでに排熱・未利用エネルギーを利用可能な温度に変換するヒートポンプや,排熱を利用して発電する熱電変換が実用化されている。その他,電車等の電力回生技術,パワー半導体などの技術革新が進む。
●使用済み製品を含む廃棄物の有効利用
 従来の資源浪費型のScrap&Buildではなく,使用済み製品を含む廃棄物を再利用を目的としたRe-Build(再生)。Reの発想が求められている。Reduce(減量化),Recycle(リサイクル),Reuse(リユース)等の他、故障した製品などのRepair(修理・修繕),旧式な機器・製品のReprofit(機能アップ)等の事業が年々裾野を広げている。Recycleで最近,市場を拡大しているのはマテリアルリサイクルが困難な廃棄物を固形燃料化してエネルギーとして回収するサーマルリサイクルである。
 その他,家庭に埋もれている不要品などを資源として流通させるReuse-shop(中古市場),古い建築・建造物の長寿命化を図るRenewal
(改修),既存の建築物を転用するためのReconstruction(改築),室内の装いを新たにするReform(改装)等,資源循環型社会においても
Reビジネスの市場拡大は必至だ。
 ちなみに環境省の市場規模予測では,2010年に機器・家具などの修理が3兆1000億円,住宅リフォーム・改修が8兆9000億円,2020年には,前者が同水準,後者が10兆4000億円規模に拡大としている。EU 諸国では,建築物の改修・補修の着工率は新築のそれを上回り,6対4の比率となっている。

<その他の資源確保としてのビジネスチャンス>
●水資源の確保
 国連の報告書によると,飲料水などの安全な水を得られない人は11億人。中東や中国などアジアの一部では特に深刻で,必要量の40%余も不足する。2025年には24億人が水不足に陥るとの予測もある。家庭や工場の排水設備が未整備のため,河川や湖沼,地下水の汚染が進んでいる事も大きな問題だ。新興国では90%の排水が未処理のまま河川などに垂れ流されているという。2025年には水ビジネスの世界市場規模は約100兆円にもなるといわれる。逆浸透膜など高い水処理技術を持つ日本企業にとっては,中長期的なビッグビジネスのチャンスだ。
●食料資源確保
 食料資源については現在,食料自給率が40%の日本にとって重要なテーマになるだろう。食料自給率では,先進国の中で日本が最も低く,米仏加豪は100%を超える。日本場合,米穀(自給率100%)以外の農作物の自給率向上が課題だ。最近では大手企業をはじめ,地域の建設・土木会社などが農業生産法人を設立し,休耕地利用の大規模農業化による効率化,経済効率の良い農業形態への取り組みが始まっている。既存農家の一部は,食の安全・安心に重点を置いた有機農作物栽培や高度な食品加工による付加価値の高い食品生産へと走り始めた。
●海洋資源の開発
 海洋資源は「水産」「海上」「海底」の資源がある。四囲を海に囲まれた日本はこの分野で極めて有利なポジションにあり,将来は世界有数の海洋資源国になる可能性を秘める。国土面積は約38万平方キロメートルで世界61番目だが,海洋面積は約447平方キロメートルで世界6番目。しかも海域には豊かな漁業資源,海洋エネルギー資源,にわかに脚光を浴びるメタンハイドレード、レアメテルなどの海底資源が眠る。この海洋資源の開発の早晩,本格的な取り組みが始まるだろう。