2018年9月15日土曜日

太陽光発電、これから何処へ

●太陽光発電、これから何処へ

無尽蔵に公平に降り注ぐ太陽光を電源とすることから、究極のクリーンエネルギーと言われる太陽光発電。エネルギー資源(化石燃料等)の多くを海外に依存する日本にとって太陽光や風力、バイオマス等の自給自足可能な純国産の再生可能エネルギーはエネルギーの安全保障からも重要なエネルギー源のひとつであり、これからも連綿と続く関連発電事業として注目される。
しかし、単なる拝金主義の間で、最近は太陽光発電事業について陰りが出始めたと言うことを多く聞くとけれど、果たしてそうだろうか?

●倒産負債総額215億円余りなのだが…
太陽光発電の関連事業が飛躍的に伸びたのは2012年に始まった再エネ固定価格買取制度(FIT)の導入からだった。太陽光発電で供給される電力の売電価格は、産業用で1KWあたり40円、家庭用等の非産業で48円だった。それに伴い太陽光発電事業に参入する事業所が相次いだ。ちなみに産業用の太陽光発電量は2017年2月時点で家庭・住宅用の比較で約6倍超えた。言ってみればバブル化した。しかし、17年4月に固定価格買取制度の改正で、産業用売電価格は21円(家庭用40円)に低下。しかも保守・管理が義務化、また産業用大規模発電では入札制度の実施、最近では環境アセスメントの対象として検討されようとしている。従って産業用太陽光発電事業を取り巻く環境は家庭用と比べると、ことのほか厳しいと言える。ある大手調査機関の太陽光発電事業の倒産件数は過去最高を記録した。17年1~9月の倒産での負債総額は215億6300万に達した。倒産原因は、関連装置の販売不振が半数を示め、事業上の失敗、売掛金回収難等を上げている。調査機関は、この傾向はしばらく続くでは、と見ている。


●新規の太陽光発電事業から保守・管理事業へギアチェンジ
こうした太陽光発電事業のリスクをチャンスに変えようとする事業所が多く登場している。固定価格買取制度改正による保守・管理に軸足を置き、従来の太陽光発電事業の新規開拓から、既存事業所の運用・保守・管理のサポート事業へ転換を図る事業所が出てきたり、設備関連各社は、太陽電池やパワーコンディショナー(電力変換器)等、より効率の良い製品やシステム開発に乗り出している。中にはドローン(小型無人機)事業を手掛けるベンチャーはドローンを使って太陽光発電所の保守・管理を新規事業化しようとしている。


●エネルギー基本計画が追い風に
これからの太陽光発電事業に、さらなる追い風になり得るのが政府が出してきた新たな「エネルギー基本計画」だ。この中で再エネを初めて「主力電源」と位置づけて大幅に太陽光発電の普及を中長期的に加速させていく方針を決めた。全電力供給での再エネ比率(水力発電を含む)について2016年度15%を30年度に22~24%程度に高める目標を掲げている。原発の再稼働が遅々として進まないのも大きな理由と聞く。海外に目を向けると、国際エネルギー機関(IEA)の調べによると2016年に世界で増えた発電量の3分の2は太陽光発電や風力発電等の再エネが占めたと言う。中国やアメリカ、インドを中心に今後5年間で43%に増えると予測している。