2018年10月28日日曜日

エコホテル選ぶ客層拡大中…。

環境に配慮した「エコホテル」が拡大中だ

 環境に配慮した宿泊施設を選ぶ訪日観光客や若者たちが増えていると聞く。従来のサービスとは異なるエコなサービスが基調とした「エコホテル」が新たなホテルサービスとして定着している。以前、各ホテルのISO14001の認証取得を機会に事業活動の環境改善が主なエコホテルへの取り組みだった。現在のエコホテルの現状を追ってみた。

 ●エコホテルの潮流
 以前の14001(環境マネジメント)に準拠した「エコホテル」の取り組みと言えば、事業活動の環境改善がだった。洗髪シャンプーを使い捨てから適量使用のポンプ式に変えたり、新建材を排除してエコ建材に切り替えたり、浴衣や寝具等にオーガニックな素材を使用する他、室内照明については省エネーを図ったり、施設で排出される食品残渣の減量化・リサイクル等が主な取組みだった。
 その背景には、事業活動の改善活動の他にお客を吸い寄せるビジネスとしてのインセンティブが強くなったからだ。環境に配慮したホテルが主流になりつつある欧州からの観光客の中にホテル選び方のひとつに「同じ価格ならエコホテルを選ぶ」が見逃せなくなったからだ。外国人観光客が急増してホテル業界で、宿泊料金、従来型サービスだけを競うホテルは考え直す時期にきている。そうしたエコホテルに惹かれる観光客に新たな客層が登場してきた。環境や健康(安全・安心)に配慮するライフスタイルを求める若者たちだ。

 ●環境配慮の多様なサービス
 日本のサービス業の環境や健康への取組みは欧米と比べと相当遅れている、と言われている。「エコマーク」に認定された「ホテル・旅館」は僅か7か所だ。しかし公的なエコマーク認定とはお仕着せでない、無関係な宿泊施設がにわかに注目を集めている。エコ潮流を受け止めて持続可能な経営に軸足を置く宿泊施設が各地に誕生しているのだ。都心にオープンしたホテルでは敷地内に緑化面積を多く設けたり、古材利用のベッド、リサイクル自転車の利用、食品ロス減らすためにひと工夫(無農薬ニンジンを使い皮をむかずに出す工夫)する等色々。川崎市のホテルでは使い捨て歯ブラシ等廃プラを固形燃料化して、そこから取り出した水素で電気を作り、同ホテルの消費電力の約30%を賄っていると言う話も。宿泊客の中には「TVでは価格競争で客呼び込もうとする宿が多い中で見えないところで環境に配慮した工夫する努力って言うか、そんな経営をサポートしたい。自分のできる範囲で社会貢献したい…」と言う「緑の生活者」の声も増えていることも見逃せない。

 ●環境を軸に新たなビジネス創出を
 米・トランプ共和党政権の環境軽視、環境政策の後退は続いている。12月14日のCBSニュースのインタビューでトランプは「気候変動は人間活動が原因かどうかわからない。(石炭産業等の)数百万人の仕事を奪いたくない」と、変わらずの利己的な持論を改めて強調している。トランプと歩調を合わせる自民・安倍政権も同類項。環境問題の主要テーマ「持続可能な社会の実現」って文言を従来のGDP(国民総生産)を煽る言葉として平気で使う等している。しかしこのエコホテルの取組みのようにスマート(賢い)な生活者や産業界にとって、もはやエコ潮流、新たな仕事の開発の端緒になっている。環境ビジネスとは環境を軸足に新たなビジネス開発に他ならないのだ。