2018年11月29日木曜日

肥料化よりも飼料化へ。

日本の食品廃棄物事情 都合8日にわたり中国での環境ビジネス市場開拓について各地方転々、企業訪問を実施したけれど、今回の訪中で一番感じたことは円卓を囲む会食での食べ残し(食品ロス)が相当量減ってきていることだ。聞けば、食品ロスを減らすために食べたいもの適正な量を注文する食習慣が広がりつつあるからだという。それはさておき、我が国の食品廃棄物量の排出量は変わらず世界でトップクラスである。現在、その膨大な食品廃棄物が国内で如何に処理されているのだろうか?

 ●肥料化から飼料化へ 食料自給率40%も満たない日本で驚くことに年間2000万~2500万トンの食品廃棄物が排出されているという。これは世界の8000万人をまかなえる1年分の食糧である。ちなみに飢餓が原因で年間2000万人近くが亡くなっている。うち約70%の子どもが餓死である。 日本で排出される食品廃棄物の約半分の1000万トン以上は食品産業からのものである。 この犯罪的な膨大な食品廃棄物を出さないという取組みよりも出たものを如何に減らすかというのがこの国の基本姿勢である。対処療法というやつだ。 その対処療法について追ってみた。 食品廃棄物の再資源化と言えば、肥料化されるケースが多かったが、肥料としての品質の確保や事業としての採算性が悪い等で、最近では肥料化よりも家畜飼料化が増えている。日本は飼料の約90%以上を輸入に依存しているため、飼料の主原料である穀物価格の高騰が飼料価格にはね返ると同時に、飼料の安定供給を考えると飼料化のほうが得策だ。政府・農水省も「エコフィード(食品残渣の飼料化)」を推奨している。 再資源技術面でも、これまで飼料化は原料となる食品廃棄物が劣化しやすい事や安定供給が困難なこと、また栄養バランス面で肉質への影響等が難点だったが、現在はほぼ改善されている。「乾燥方式」の他「リキッドフィーディング(液体肥料)」「サイレージ調整(原料を密封し、乳酸発酵させて雑菌の繁殖防止)」が開発されてから、中でも養豚用飼料の需要が急増している。

 ●ループリサイクルによる飼料化の促進 食品廃棄物の排出事業者自らが再資源化された飼料で育てられた豚肉を販売しリサイクルの促進を図るループリサイクルの確立へ向けた取組みが各地で増えている。比較的規模の大きい事例としては神奈川・相模原市の日本フードエコロジーセンター」の取り組みが挙げられる。小田急線沿線の食品工場、デパート・スーパー、給食センター等で出された食品廃棄物を飼料化し、その飼料で飼育された養豚肉をスーパー、デパート、ホテル等多岐にわたる業種で販売している。この試みは千葉、北関東・多摩地区でも大手スーパーで実施され、成功している。また茨城県下では「肥料化」のループリサイクルによる米、野菜を販売するという二刀流を展開中だ。いずれもリピーターを多く獲得し事業としても好調と聞く。 ●もったいないを忘れた日本の食生活 家庭から出る食品廃棄物は1000万トン近いと言われ、食糧費用換算で11兆円。これは日本の農水産業の生産額とほぼ同額。さらにその処理費用(焼却)で2兆円が使われる。家庭の冷蔵庫の中で電気を使い廃棄物にして捨てられる賞味期限切れの食糧も200万トンという現実もある。大量消費の大量廃棄の歯止めがきかない。

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