2018年11月25日日曜日

植物由来のバイオプラスチック…。

今、森林由来の多様なプラスティクが生産中  資源の多くを海外に依存、輸入する資源小国・日本。枯渇性が高い石油等の化石燃 料多くの資源は、価格高騰、政治の道具に使われたり、資源確保の安全保障が困難な 時代に。現在、我が国に求められている命題は自国で調達可能な純国産の資源開発で ある。国土の70%を占め、未利用なまま放置される森林を資源として利活用する、多 様な取り組みが産業化しつつある。中でも括目すべきは森林由来のバイオプラスティ ク用途開発だ。

 ●日本は世界有数の森林国  国土面積に占める森林面積の割合を「森林率」といい、日本は森林率が67%と国土の 2/3が森林だと言われ、この割合は、先進国のなかでフィンランドに次いで2番目に高 いとか。 つまり、日本は世界有数の森林国なのだ。このうち約半分が天然林、2割が人工林、そ の他3割が無立木地(樹木が生立していない林地)や竹林などで構成されている。しか し、日本は有数の木材輸入国で、日本の木材自給率は約3割。使用する木材の約7割を 輸入に頼っているのが現状だ。ちなみに熱帯合板は世界最大の輸入国で、2016年国際 NGO・44団体から2020年東京オリンピックの関連施設に、これまで守られてきた「持続 可能な材料を使用」が破られて、持続不可能な熱帯雨林木材が使用されている可能性 が高いという警告文が国際オリンピック委員会(IOC)に寄せられているのも事実。持 続可能な材料使用という考え方は北京、ロンドン、リオと引き継がれているが、東京 オリンピックでは疑問符が付いたまま。 

●森林資源利用は産業として発展段階  新たなエネルギー資源の確保から,世界的にも森林関連資源の需要は増大している。 日本では、全国に広く分布する森林・木質バイオマス(製材残林,伐採・剪定木くず 等)のエネルギー関連の熱利用や発電利用が各地で行われている。海外では森林その 他、植物由来の石油代替のバイオエタノール(セルロースを原料とした)の生産量が じわりと増えている。日本でも、独自に森林・木質系セルロースなどを原料としたバ イオエタノール生産が実証段階ながら始まっている。一方、森林資源のエコマテリア ル利用としてのバイオプラスチックはすでに電機・精密機器の部材の一部として生産 が開始されている。 

●バイオプラスティクの用途が急拡大  植物由来の新素材・エコマテリアル「セルロースナノファイバー」(CNF)の研究が 進み、具体的な製品となったのがバイオプラスティクである。エコマテリアル開発で は世界のトップを走る日本ではすでに紙おむつ、ボールペンの他、強化プラスティク として電子機器、自動車関連部材に使用され始めている。この植物繊維の主成分のセ ルロースは鉄筋コンクリートのような頑強な構造で、鋼鉄5分の1の軽さで強度は5倍 以上という優れモノ。しかも再生可能な植物由来でカーボンニュートラル(大気中に CO2放出しない)ため、地球温暖化の抑制にも繋がる。その原料の供給源は森林であり 第一次産業である。それが新たな産業創出の契機になるだろうし、森林国・日本にと って純国産の世界に冠たる素材なのだ。これからバイオプラスティクの製品化・商品 化は拡大の一途である。