2019年2月18日月曜日

生分解性潤滑油②

もう一つ需要拡大が見込める分野が船舶の船外機に使われるエンジンオイルだ。 現在船外機は世界的にも2サイクルエンジンが主流となっているが、2サイクルでは未燃焼のエンジンオイルが燃焼ガスとともに排出され、これが水質汚濁の原因となっている。油の投棄については海洋汚染防止法や水質汚濁防止法により厳しく規制されているものの、エンジンから漏れ出した油については、すべてを取り締まることは難しく、97年度に海上保安庁が確認した日本周辺の海洋汚染発生件数713件のうち、 油によるものは403件と全体の5割以上をしめている。

エンジンオイルを生分解性のものに転換する動きは世界的にも活発化しており、 国際海洋産業協議会(ICOMIA) では、2サイクルエンジンオイルの水中における生分解性の評価手法であるCEC (陽イオン交換能) 試験法により、分解率67%以上のものを生分解性エンジンオイルとして認定し普及を後押ししている。 和光ケミカル (神奈川県小田原市)のマリン用2サイクルエンジンオイル(MRB) は、 90%以上の優れた生分解率を示しているうえ、国際舟艇製造者協会 (NMMA)の船外機エンジンオイルの性能規格TC-W2TMにも合格するなど、 国際的にも高い評価を受けている。

当面はコスト削減に向けた新しい製造技術の開発が課題となるが、生分解性潤滑油は既存の施設を更新・改造することなく使用でき、また、鉱油系では原油の枯渇などの問題もはらんでおり、長期的にはかなり有望な市場といえる。

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