2019年2月20日水曜日

またぞろ増え始めた環境広告

<またぞろ増え始めた環境広告>
環境広告が新聞各紙、TVのCM等に最近また増えている。新たな環境製品のピーアールが目立つ。環境関連の機器から日常的な耐久消費財の購買を促す製品が主流だ。いかしその内容に変化の兆しあり。エアコンは温度管理から空気調整への変化等が挙げられる。中にはTVでは漠然とした「地球に優しい」なんて使用禁止の環境用語を平気で無節操に使う自動車メーカーのCMも登場している。そんな環境広告の業界を追ってみてみた。

●環境広告の背景

1990年初頭に新聞・雑誌、テレビCM等マス媒体に,これまでなかった「環境広告」と呼ばれる広告が登場した。しかし当初の環境広告は「地球に優しい」「われら地球家族」等に代表される抽象的な言葉で企業イメージアップを狙ったものが多く見られた。

この背景には「環境維持。保全」が、新たな企業イメージを形成するキーワードでもあり、CI(コーポレート・アイデンティティ)の手法のひとつとして考えられ始めたと言うことである。換言すればCE(コーポレート・エンバイロンメンタリズム:企業の環境重視型戦略)が1990年代の企業経営戦略のひとつの柱になったと言えるだろう。

しかし、一連のイメージ先行型の環境広告は環境問題への企業理念や、姿勢、具体的な取組みや提案が不明瞭で、環境広告としてのインパクトを欠いていたために低迷する。日本の環境広告は、企業の社会的責任が消費者・生活者から情報公開・説明責任を厳しく求められる欧州の環境広告の動きとは遠く、広告の数は減少傾向に入る。

最近のTVでは某自動車メーカーが「地球に優しい」なんてノー天気なCMを平気で流しているのだ。ちなみに環境広告の源流は、1990年5月に日本経済新聞に掲載されたスエーデンの自動車メーカー・ヴォルボ広告コピー。「私たちの製品は、公害と、騒音、廃棄物を生み出しています」だったと思われる。当時、日本の広告業界はこの広告に震撼した。

●消費者・生活者がターゲット

時を経て、最近になってまたぞろ日本の新聞広告に「環境広告」が増え始めた。実質が伴わない経済低迷期の現在、内部留保に熱心な大手企業の中で新分野開拓を求める一部の企業が第3次産業拡大を狙う動きが出始めている。消費者・生活者へ「環境商品」のピーアール展開開始している。現在環境ビジネス市場約104兆円だが、これから3次市場の拡大が予測できる消費者・生活者市場開拓を狙ったものだ。都市環境、生活環境の快適性に寄与できる日用品の環境商品が多く占めている…。

その他に従来の売上の一部を環境保護団体に寄付している企業の商品購入を通して、結果的に環境保護をサポートするもの等が挙げられる。

現在、環境事業は、元来の「自然生態系の維持・保全活動」から、快適な生活環境を求める「生活環境の改善」が主流になりつつあるのが実情だ。

●環境広告関連ビジネス裾野の広がる

世界的に地球環境が劣化する中、経済・社会の根幹を担っている産業界や企業の役割は高まるばかりだ。これまで以上に企業が担う役割は大きい。米国では「サーキュラー・エコノミー(資源循環型経済)」が注目されている。消費者・生活者、企業の従来型の大量生産・大量消費・大量廃棄の直線的な産業活動を資源循環へとギアチェンジしようとするもの。そうした企業活動を消費者・生活者に伝える環境広告の果たす役割は大きくなっている。と同時にこれをコーディネートする環境意識が高く、グリーンコンシューマ意識を読み取れる広告代理店やコピーライター、WEBでの表現するサイト等に現在ビジネスチャンスが拡大しているのだ。

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