2019年7月29日月曜日

動脈と静脈

●動脈と静脈とは…。

「循環型社会での物流には2つの流れが形成される。ひとつは製造者から消費者をつなぐ動脈物流と、もうひとつは消費者から出される廃棄物を再資源化と再利用のため静脈物流がある。 この2つの物流が形成されて、 循環の輪が可能になる」と書いた。

この動脈と静脈って言葉の由来は?
人間の血脈には、心臓から全身に酸素と栄養を運ぶ「動脈」と、全身から出る老廃物や二酸化炭素を戻す「静脈」がある。この言葉を産業活動に置き変えたものだ。
人間が、持続可能で健康的に活動できるのはこの動脈と静脈がうまく循環しているからだ。産業活動も同じ事が言えるのだ。
ましてや資源小国の日本にとって、廃棄物は立派な資源である。静脈で運ばれる廃棄物を適正に処理して資源化する重要な役割を果たすのが静脈だ。この静脈が機能しないと、今モンダイになっている廃プラ等モンダイが浮上してしまうのだ…。

したがって静脈係る産業は環境事業・環境ビジネス分野においても、これからもさらに重要な産業のひとつであり、新たな産業基盤として位置づけが必要になるだろう…。
安藤眞

2019年7月16日火曜日

レジ袋不要で売る方、買う方、「ウイン、ウイン」

<ごみゼロってのは日常性だよね>

友人からの受け売り情報だけれど、ある地域のスーパーマーケットの商売の仕方…。
「安く仕入れて安く売る」つまり底値買いして来て、客が喜ぶ安い値段で売りさばく
って商売の話。

ビックリするほど安く買ってきた商品を店内に段ボール開封して売っている。
開封するだけで、ここの商品は包装したりしない。
客は段ボールの中から必要な量だけつかみ取って買って行く…。
商品名と値段は段ボールの切れ端にマジックインクですべて手書きだ。
「包装する手間ヒマ不要。それだけお客さんに安く提供できるから…」ナルホド。
レジ袋一切使わない。新聞紙が包装紙代わりだ。客は買い物袋持参。
要は店側にしてみれば、コスト削減。客にしてみれば、その分商品を安く入手できる
のだ。しかも商品以外の余分なごみを持ち帰らずに済む。

営業時間はダラダラとしていない。おススメの
商品が売切れたら今日の商売はジ・エンド。
「大手スーパーのコスト高になる要因を削っていったら、こうなったんだ…。それで
もちゃんと儲かっている」だって。
品揃えはいまいちなのだが「うちにないものは他で買ってくれ!」と、こーだもの。
「温泉場の大規模ホテル、客をホテル内に抱え込んで、外で金を使わさない商法とは
ウチは違うんだ」とも言った。
こんな乱暴な?商法が地方でまかり通り、地元では以前から大人気店である。

相当以前に取材した米カルフォルニア州のスーパーマーケットでも同じスタイルでや
っていた。ここではレジでの精算は量り売りだった。
「今モンダイのプラスチックの海洋ごみの減少に繋がるよね」と友人。
拝金優先に走らず、普通の商売感覚の中に環境ソリューションの的を得た回答が転が
っているのでは、と。

「エネルギー基本計画」について

純国産エネルギー創出チャンス!


政府は将来のエネルギーのあり方を示す「エネルギー基本計画」新たに構築する前に有識者会議(正式名称・エネルギー情勢懇話会)を招集。2050年に向けて太陽光や風力等の再生可能なエネルギーを主力電源と位置づけた。背景には各国で本格的に取り組みが始まった「脱炭素化」がある。「パリ協定」で影薄い日本政府が示した温室効果ガスの削減目標を見据えたものだと言う。2013年比80%削減目標。その内容を追ってみてみた…。

●再エネの障害になるもの
地球温暖化対策のロードマップを定めた「パリ協定」が2016年に発効。原油や石炭等の化石燃料の依存から脱却を明示。
先進国を中心に再生可能エネルギー普及の取組みが加速し、世界のエネルギー環境は大きく変わった。「京都議定書」以来、後手に回るガラパゴス化している日本はエネルギーへの認識の浅さから、世界に常識に合わそうと、再エネを大量に導入しようとする。
しかしそこにはさまざまな障害がある。言い古された障害とは、こうだ。
●国土が狭いので、太陽光パネルや風力発電機の設置場所が限られ、大量発電が困難。
●再エネの発電コストが欧州と比べると割高だ。
●電力会社の送電線使用には限界あり。
●再エネは天候に左右され、発電量が一定しない。供給不安定だ。
●景観条例や漁業権等で地域によって再エネ普及促進が進まない。
有識者会議はこうした障害を克服するために「発電した電力を蓄電池に貯めたり、水素等との組み合わせで効率的に発電したりする技術革新が求められる」としている。そして提言では再エネや原子力等様々な組み合わせて「温室効果ガス」の抑制や発電コストの引き下げに努力しているイギリス等を参考にすべきだろう、と指摘している。

●有識者の認識の甘さ
大学教授を含む有識者会議の提言には「野心的な脱炭素化の目標を掲げた」こと。また「提言が再生可能エネルギーを主力電源と全面に打ち出した」ことを有識者は自画自賛。変わらずのノー天気ぶりを発揮している。
産業界の一部では提言書で言われなくも、脱原発は常識だ。産学連携が概ねデスバレーしか形成されない一面を見たような…。
提言で一番首をかしげるのは、これから将来、エネルギーの基本を考えるべき提言なのに、原子力発電の位置付けが先ずいい加減で曖昧だ。原発を今も脱炭素化に必要な電源と位置付けている。「小型原子炉等の技術開発や人材の確保が不可欠」と強調してい
る。二酸化炭素(CO2)出さない理由で、モターで動く電気自動車が良しとする短絡的発想と同じ。一方で原発への依存度を低減する政府の方針は堅持するも、原発の新設や増設には黙っている。温室効果ガスが高い石油や石炭等化石燃料による火力発電は再エネの補完電源としての扱っている。当面は化石燃料は主力電源であると言う立場だ。
政府は2030年のエネルギー基本計画でも再エネを主力電源とする方針だ。「2050年を見据え、エネルギー活用のあり方をいかに構築していくかが問われている」と結んでいる。

●転換の発想で、新たな再エネ産業の創出
環境の取り組みに経済的なインセンティブを付加(産業、事業、ビジネスとして繋げる)することで、その取り組みを持続・継続させる「環境ビジネス」を提案しているわたしらにしてみれば、この国のエネルギー戦略ミスを常に感じているのだ。戦前・戦中・戦、そして現在においても資源小国、この国に付きまとう命題とは資源問題である。中でもエネルギー資源確保するために90%近くを海外に依存している。独自のエネルギー確保が必要なのだ。つまり独自のエネルギーの創出・確保が求められている。
他国とは大きく異なる点だ。「エネルギー基本計画」にやっと再生可能エネルギーが主力電源として位置付けられた。これは正解なのだ。
「地産地消」がモットーの再エネを純国産エネルギー供給の軸に据え、そこに新たな産業・事業・ビジネスの創出を図れば良いのを、いつまで経っても八方美人的に「エネルギーミックス」と言っている。産業界では脱原発がアタリマエになっている。だのに原発にしがみ付いている。再エネをエネルギー政策の中心に据えた産業創出すれば、地球温暖化対策も解決可能だ。
要は資源小国の日本は「純国産」のエネルギー資源を開発することなのだ。資源問題と温暖化対策は日本にしてみれば同じ土壌だと言えそうだ。

●発想の転換こそビジネスチャンス!
環境ビジネスの事業アイテムの一つに資源・エネルギー問題が軸にある。
資源ではリユースやリサイクル、森林再生、エコマテリアル、パーマネントアグリカルチャー(有機農業)、水や海洋資源等。エネルギー資源では再生可能な純国産エネルギー開発が求められいる。政府は埋蔵量100年余り残す炭鉱を廃山し、石油、原発へシフトしてきた。エネルギー問題にエネルギーついての独自性ない政府は大きな予算を純国産エネルギー産業創出へ転換し、新たな市場と雇用の場を創出すべきなのでは、と。
「今世紀は環境の世紀」だ。陸・空・海洋を軍事力で線引きする時代ではない。
多様な商機が転がっているのだ。2050年なんて遠い将来ではなくて、今すぐやって、これまでの遅れを取り戻すチャンスでもある。