2019年8月25日日曜日

水素社会へ向けて


        ●●水素社会へ向けて着々と。


 戦前、戦中、そして現在も日本は資源・エネルギーが乏しい国だ。この需要な命題
 が他国とは決定的に異なるところだ。特にエネルギー資源については5%程度の自給
 率だ。95%以上を海外に依存している。政府のエネルギー政策が反映されている。
 変わらず原発、化石燃料を軸にとってつけたように再生可能エネルギーを並べて、
 「エネルギーミックス」なんて言い続けているのだ。日本にとって考慮すべきなのは
 海外に頼らない純国産エネルギー開発なのでは、と思われるのだ。究極は、水素を
 軸とした水素エネルギーであり、「水素社会」の構築だと。その取り組みを追って
 みてみた。


  ●水素閣僚会議 
 2018年末「水素閣僚会議」が東京で開催されいる。米国や中国、フランス等19カ国の
 閣僚級の高官に加え、国際エネルギー機関(IEA)等の国際機関の幹部らの他に、企業
 関係者のトヨタ自動車、米ゼネラル・モーターズ(GM)、アブダビ国営石油、サウジア
 ラムコ等の幹部ら集まり、水素社会の実現に向けて「東京宣言」を採択した。水素に
 係る技術開発、規制整備、国際共同研究、水素の可能性調査、教育・啓発の4分野で
 連携することを決めた。具体的には水素貯蔵や燃料電池自動車、水素補填等の企業連
 携の促進、水素ステーションや大型輸送車等の規制・規格・標準化の他、二酸化炭素
 (CO2)等の汚染物質の削減効果に向けてのデータ収集・分析の共同研究等が挙げられて
 いる。


 ●水素基本戦略
 一方、産業界では、アベ政権の原発輸出失敗、地球温暖化防止の国際的な枠組み「パリ
 協定」で後塵を拝した配慮と言うか忖度で、地球温暖化防止が前面に出ている。「水素
 社会」の構築は二の次のように思える。エネルギーセキュリティ(エネルギー安全保障)
 の視点がない。後手に回る現政権をよそに日本の「水素社会」の実現に向けた取り組み
 は進む。2017年12月には政府と産業界の一部では再生可能エネルギー・水素関連の関係
 者によって「水素基本戦略」が決定された。この戦略は2050年を視野に入れて、将来目
 指すべき水素社会のビジョンであり、その実現に向けた30年までの行動計画になってい
 る。決定された行動計画には再生可能エネルギーの導入促進と地方再生と言う戦略で、
 余剰電力の貯蔵技術に水素を利用するというものだ。つまり再生可能エネルギーによる
 発電の余剰電力を「水分解」で水から水素を取り出して「グリーン水素」を貯蔵。必要
 に応じて燃料電池自動車や家庭用燃料電池の燃料として水素を利用する作戦だ。



 ●参画の事業体
 「水素基本戦略」に参画する事業体は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、東芝
 エネルギーシステムズ、東北電力、岩谷産業等。なお水素エネルギー技術開発では、世界
 をリードする岩谷産業は18年8月に再生可能エネルギー利用の世界最大級の水素エネルギー
 システム「福島水素エネルギー研究フィールド」を同県浪江町に立ち上げている。1万㌔
 ワットの水素製造装置で年間最大900㌧規模の水素を製造し、貯蔵・供給可能だ。各社の役
 割は、東芝エネルギーシステムズが全体のシステム運用、東北電力が電力系統、岩谷産業
 が水素需要予測、水素貯蔵・供給等だ。




  ●「エネファーム」として家庭用燃料電池の普及進む
 水素製造・回収でのキーとなる技術が燃料電池だ。簡単に言えば「水の電気分解」を逆に
 したもの。つまり水や空気中の酸素と水素を結合させればオーケー。「水の電気分解」で
 は、電解質を溶かした水に電流を通して水素と酸素を発生させるが、燃料電池の場合、電
 解質を挟んだ電極に水素を、もう一方の電極に酸素を送るこよって化学反応を起こし、水
 と電気を発生させるのだ。ちなみに枯渇性が高く地球温暖化避けられない従来の化石燃料、
 安全・安心が確保されない原発とは異なり、無尽蔵でクリーンなエネルギー(主な排出物は
 水)として注目されている「水素」を創り出す装置が燃料電池なのだ。現在、燃料電池自
 動車の他、家庭用燃料電池の普及が進む。日本が世界トップの普及率だ。言ってみれば各  
 家庭に発電所を導入するようなもの。発電とそれに伴う排熱は給湯、冷暖 房等の熱源に
 利用可能だ。コスト面で一番安く水素製造・回収できるのが都市ガスと石油だ。2009年か
 ら本格的に市場が形成されつつある。家庭用燃料電池の価格が100万円以下になれば、一気
 に普及が加速すると言われている。
水素社会を一番最初に実現するのはこの日本だ。 

2019年8月2日金曜日

N夜光

エコマテリアル(環境素材)

素材そのものが利用する時に環境に負荷がかからない、あるいは素材が環境改善に
役立つ機能を持つエコマテリアル(環境素材)開発は日本が世界を牽引していると言
っても過言ではないだろう。

●N夜光(ルミノーバ)
従来の夜光顔料(夜光塗料)には「自発光性」と「蓄光性」の2種類がある。
前者は放射線によって一晩中発光可能だが、放射性物質が含まれている用途に制限
があり、生産や廃棄にも厳重な管理が必要。
一方、後者は放射性物質が含まないが、長時間発光が困難で実用的ではなかった。
今注目を浴びているN発光は放射性物質不要、しかも長時間発光を可能にした。アルミナ酸塩化合物を主成分に希土類元素の賦活剤を添加焼成という特殊な製法で製品化に成功した。
このN発光の特長は①暗闇での長時間発光②残光、輝度が従来の10倍③照射する光が
強いほど光る④耐光性に優れ屋外使用も可能⑤化学的安定性が高い⑥光が遠くまで
届く⑦人と環境への負荷が少ない等が挙げられる。
現在、日用品、時計、自動車、野外用品等用途開発が進む。根本特殊化学が世界に
先駆け製品化して、世界シェア約80%を占めている。