2014年3月6日木曜日

スマートグリット市場に求められる新技術とは?


スマートグリット市場に求められる新技術とは?
 次世代電力網と呼ばれるスマートグリットの「グリット」とは、英語で電力系統のことをいう。電力系統とは発電所で発電された電気が送電線で変電所から配電所を通り、各事業所、家庭等までに届く電気のネットワークのことをいう。そして「スマート」とは賢いという意味である。つまりスマートグリットとは「賢い電力系統」ということになるが、その狙いは、平たく言えば、ここ20年余りで急速に発展した情報通信技術を利用して、送電ネットワークや配電ネットワーク等の電力系統を効率良くより最適に運用することで、言ってみれば電気の使い方をより賢く使うことで、省エネルギー等の経済性、環境側面、電力品質の維持・向上等である。
 したがって、このスマートグリットの関連事業は、従来の単に送電・配電ネットワークの電力系統に留まらず、様々な事業へ広がってきている。
 日本での関連事業は、エネルギー、IT、情報通信の各産業を核として、供給層サイドでは分散型電源関連産業、需要者サイドでは家電、住宅、自動車等の広範囲の産業が含まれてくる。

 このスマートグリット関連の国内市場については余りにも多様な産業・事業にわたって、市場規模を算出できないのが実情なのだが、国内のスマートコミュニティ関連市場に絞って言えば、富士経済が市場予測している。それによると2011年が1兆1221億円、20年には3兆8008億と読んでいる。
 将来的に新たな産業の柱としてスマートグリットは期待されている一方、国内の業界、企業の受け止め方はさまざまである。「これまでやってきた省エネ事業、それに関連する技術開発分野となんら変わりがない」という声もあれば、「アメリカ発の目新しいヨコ文字だけが並んで、概念ばかり先行して、実際のビジネスが見えてこない絵に描いた餅だ」という声も聞かれる。
とはいえ、国内の多くの企業は、自社にとっては大きなビジネスチャンスとして捉えて、すでに事業・技術開発に乗り出した企業も少なくない。
 そこで、国内スマートグリット関連の事業・技術の取り組みの現状、及び将来的に創出され得る新事業・技術については以下の通り。
 スマートグリット関連技術は、前述通り送電系統、配電系統、需要者サイドによって適応される技術はそれぞれ異なっている。「NEDO再生可能エネルギー白書」の「スマートグリットの技術の現状とロードマップ」によると、各分野の技術を機能別に4つに分類している。
1)送配電系統の監視・制御技術
2)需要者サイドのエネルギーマネジメント技術
3)系統の効果的運用が可能となる先進技術
4)先進的なインターネット技術
係る技術の進展、拡大は、当然のことながら脱原発の確かなロードマップになり得るのだ。