2016年10月4日火曜日

環境ビジネス市場、100兆円へ拡大

環境ビジネス市場、初の100兆円の大台へ タイトル

環境省は2014年の国内の環境関連産業の市場規模が約105兆4133億円(前年比1.3%増)へ拡大。統計をとり始めた00年以降初めて100兆円規模になったとする推計をまとめた。雇用者数も約256万人と過去最多になった。~リード

●年々厚みを増す環境ビジネス市場
100兆円突破について環境省は電力の固定価格買い取り制度によって、再生可能エネルギー産業が急成長したことが貢献したと分析している。市場規模は00年の58兆と比べると約2倍に拡大している。さらに地球温暖化対策の新枠組みが締結された「パリ協定」が採択されたことを受け、今後も市場拡大が続くと環境省は読んでいる。
分野別ではペットボトルなどの廃棄物処理・資源有効利用が45兆円と最も市場規模が大きかったが13年よりもやや減少した。次いで、太陽光・風力発電などの再生可能エネやLED(発光ダイオード)などの省エネの関連製品を含む地球温暖化対策が約37兆円と推計している。
今回公表された数値は,しかし真に受けない方が賢命だ。補助金に支えられたり、売上至上主義で都合の良い売り上げを計上した企業も少ないと見るからだ。したがって市場規模の動きを知る目安、参考程度として留めたい。もっとも数字の内容はともあれ、率直な感想を言えば環境ビジネス市場は年追う毎に確実に拡大している。
●環境ビジネス本流は資源確保
我が国の環境ビジネスは第一次産業から第三次産業まで全産業に裾野を広げ、技術・事業のアイテム数は900余り、市場参入事業所は地域の産廃事業者を入れて数えると1万を超えた。
環境問題への取り組みに経済的インセンティブを与え、その取り組みを長期にわたり持続させるのが目的の環境ビジネスだが、1988年設立以来わたしらエコビジネスネットワークにとって常に底辺に流れるテーマは、環境というフィールドで括られる資源確保である。
「資源小国」日本にとっては資源の安全保障は今も昔も避けて通れない重要な課題で、日本の環境ビジネス市場においても同じこと。資源確保関連ビジネスが市場の主役であり続けることはまず間違いないと思われる。

●エネルギーの安全保障
エネルギー資源については海外に95%以上を依存する日本は国内調達可能な純国産エネルギーの資源開発が急務である。自給可能なエネルギーとして考えられるのが、太陽光・熱、風力、バイオマス、大・小水力、地熱などの再生可能エネルギーである。しかも、これら純国産自然エネルギーは、再生可能であり環境負荷が著しく少ないクリーンな資源であることだ。ちなみに海外に依存する化石燃料などのエネルギー資源は枯渇性が高く、採取・利用の過程で健康被害、環境負荷も高いのだ。
日本にとって再生可能エネルギーの利用促進、更なる産業構築こそが資源の安全保障の観点からも、脱原発や地球温暖化の要因のひとつであるCO2の排出削減に繋がるのだ。現政府の知見なき曖昧なエネルギー政策をよそに、企業の多くはこの方向へ確実にスマートに歩を踏みだしている。

●資源確保へ向けて広がる多様な事業
その他、資源確保に不可欠な事業として、省エネ・節電、エネルギーの高効率利用に係わる技術・事業、使用済み製品及び廃棄物のリーユース、リサイクルなど再資源化、建築・建造物の改装・改修、環境配慮型のエコマテリアル(環境素材)開発、植生を豊かに育む土壌改良など枚挙に暇がない。