■「地球環境問題と経済の3つの関係」
地球環境問題の主な原因として、人口増加、南北の経済格差、拡大する金融市場、物質文明の進化、国家間の隔たり、資本主義制度、国際国内法などが挙げられます。その結果、砂漠化、温暖化、森林伐採などの天然資源の枯渇、海洋汚染、大気・水・土壌汚染、オゾン層の破壊、異常気象などの現象が起こっています。
■「地球環境→経済」
このような地球環境問題は、当然ながら経済に大きな影響を与えます。たとえば、異常気象の一例を挙げると、冷夏であれ酷暑であれ、農作物の収穫に大きな被害がもたらされ、穀物の価格高騰を引き起こします。これは大きな経済問題であり、現在のように北米に穀物生産が集中している状況ではさらに問題が顕在化します。
■「経済→地球環境」
しかし、地球環境と経済の関係は単純ではありません。環境問題が経済に大きな影響を与えるだけでなく、経済もまた地球環境に影響を与えています。たとえば、豊かな北の国々が南の国々の天然資源を収奪しているという事例が挙げられます。北の国々は、南の国々から食料、森林資源、石油・天然ガスなどを巨額な資金をもって購入し続けています。
■「経済成長の限界」
どちらが先か、鶏と卵の関係と言われますが、地球環境問題が経済に影響を与える一方で、経済もまた地球環境問題に影響を与えるという相互作用がスパイラルアップし、もう現在の段階では、地球環境への配慮なくしては将来の経済成長も限界があるという状況になっています。したがって、どのように持続的成長を果たしていくか、という言葉が大きな意味を持ちます。
持続的成長を実現するために有用な方策としては、たとえば、先に述べた穀物生産のように、グローバルな視点で地球上の食料工場を地域に固定化させない方法もあります。各地域の独自性を尊重し、食料の自給率を高めることです。このほか、持続的成長のための方策はいくつも試みられていますが、現状を打開する方法として、地域マネーはかなり有効な方法だと思われます。
■「地域マネーの重要性」
一般的には、「流通する通貨が一つだけの場合、経済圏を構成する地域経済は萎縮する傾向がある」と言われています。現在の金融事情はドルによる一極支配とも言われ、その結果、富の極端な集中化がもたらされています。北の豊穣、南の貧困という南北問題は以前から問題になっていますが、一向に改善の見通しはなく、かえって格差が広がっていく傾向にあるようです。ドルは外貨準備高としては65%、投資通貨としては40%、為替市場における取引通貨としては42%、世界貿易においては48%のシェアを占めていますから、一極支配というのは大げさかもしれません。しかし、ドル以外の通貨の比率は分散しているとは言え、やはり、ドル本位制と言えるでしょう。ここではこの単一通貨と地域萎縮の意味を考えてみましょう。
■「かぼちゃの輸出を例に」
説明を単純化するために、A国とB国があるとします。A国ではかぼちゃを生産し、B国ではこれを消費するとします。また、A国ではかぼちゃ以外の生産物はなく、A国での消費はすべてB国に依存するとします。収穫期が来ました。A国では100kgのかぼちゃを収穫し、100万円です。A国はB国にかぼちゃを輸出し、100万円を受け取ります。ただし、この100万円は、今後一年間の消費かぼちゃを栽培するための経費やA国の住民が生活するためのお金です。条件によって、この100万円はすべてB国から消費物資を輸入し、その全額がA国へ消費物資購入代金として支払われます。この例は消費をすべてB国に頼るという条件なので、実際はそんなに極端ではないかもしれませんが、B国の消費が増えるにつれて、A国への消費依存度も高まるということは一般的に言えると思います。
次に、条件を加えます。A国は、「円」という共通通貨の他に「エコ」という地域マネーをもっています。「1エコ = 1円」とします。かぼちゃの収穫期がきました。A国の収穫は、昨年と変わらず100kgです。ここで、B国は80kgだけを購入し、80万円をA国に支払います。残りの20kg分の代金20万エコと交換されます。ただし、ここで重要なことがあります。それは、最初の条件でA国には他の産業がなく、すべての生活必需品をB国から輸入している、という条件です。
地域マネー「エコ」を20万エコとすると、この20万エコに相当する生活必需品をA国は自力で生産しなければなりません。地域マネーのすごさはここからです。80kgの代金である80万円はB国からの消費物資に消えてしまいますが、20万エコは自国内に残ります。地域マネーの制度では、地域マネーがある限り、物と物との取引、流通があります。A国の経済が100万円であるとして、もし、B国からの取引を一方的に切られたとしても、20万エコだけは損害を防げるというわけです。さらに、自給率を高めるほど、この20万エコは増えていきますから、さらに安定した経済システムを築くこともできるでしょう。
No comments:
Post a Comment