Tuesday, April 15, 2025

跳躍する視線――一億総ドキュメンタリストの夜明け(1969年)

跳躍する視線――一億総ドキュメンタリストの夜明け(1969年)

1969年、社会が揺らぐなかで、テレビは単なる娯楽や報道を越え、人間の眼差しそのものを問う装置へと変貌し始めていた。ドキュメンタリー演出家・牛山純一は、その潮流の先端で「一億総ドキュメンタリスト」という言葉を投げかける。映像はもはや特権階級のものではなく、市民一人ひとりが日常の中に記録すべき視点を持ちうる――彼はそう信じていた。そして「二重のカメラ」という発想。カメラが文化を記録するだけでなく、撮影する者自身もまた観察されねばならないという彼の提言は、現代におけるVlogやメタ・ドキュメンタリーに先行するものであった。牛山は語る、「ドキュメンタリーとは作品論ではなく作家論である」。その一言は、現実と向き合う姿勢の厳格さを映し出す。時代のざわめきのなかで、映すこと�
��見つめることの境界を越えて跳躍したその視線は、いまなお私たちの映像文化の根底に息づいている。

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