山伏の滝の邂逅-サンカとオタカラシュウの記憶(1983年)
1983年に山伏の滝で出会った老人は、尾張地方をめぐる漂泊の竹細工職人「オタカラシュウ」の一人であった。山の形状や草木の薬効、鳥獣の動きまで自在に語る姿は、土地に深く根ざした生活の知を体現していた。その語りをきっかけに調査が進み、オタカラシュウが農村を巡り、箕や味噌漉し、野菜籠、魚籠などを修理・製作して暮らす職能民だったことが明らかになる。彼らは「キマリ」と呼ばれる掟を持ち、季節ごとに「ハタムラ」と呼ばれる仮の集落を移動しながら生活した。さらに「サンカ」は全国に存在した漂泊職能民の総称で、尾張のオタカラシュウはその地域分派にあたる。山と村のあいだで生きた誇りと技術、そして消えゆく文化の名残が、この出会いによって静かに立ち上がっていく。
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