テレビと漫画が"国民的娯楽"へ成熟した時代――文脈のなかで読み解く1975年前後のエンタメ欄(1975年)
1975年前後の日本は、高度経済成長の終わりと第一次オイルショックの影響が重なり、社会全体が停滞感と不安に包まれていた。そのような時代において、テレビと漫画は人々の生活に深く浸透し、不況の中でも強い存在感を保った。家庭にはほぼ完全にカラーテレビが普及し、夕方から夜にかけての放送は家族の習慣となり、特撮やドラマは不安定な時代に小さな安心感をもたらす役割を果たした。漫画雑誌も依然として高い発行部数を維持し、少年漫画はスポ根や不良もの、SFが人気を支え、少女漫画は心理描写が深化し、若い女性の内面世界を繊細に描く新たな文化へと発展していた。また、映画界は斜陽期にありながら、若者向けのアクション映画や漫画原作作品が積極的に制作され、テレビとの競争の中で劇場ならではの体験
価値を模索していた。この時期に登場した『アイアンキング』『ママはライバル』『男どアホウ甲子園』『高校生無頼控』などの作品群は、こうした文化的背景の中で生まれ、テレビや漫画が"日常を支える娯楽"として成熟していたことの象徴であった。
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