Wednesday, November 19, 2025

1999年8月。

1999年8月。
■日本の非鉄金属自給率は年々減少しており、平成5年度の自給率は0.3%になっています。
このような海外鉱石への大きな依存と調達力の脆弱性、や廃棄物処分場の逼迫状況をみると、地上資源のリサイクル等による有効利用が持続可能な経済活動のために必要不可欠です。
平成5年に提唱されたリサイクル・マイン・パーク構想(RMP)は、鉱山や精錬所が有する施設、技術、ノウハウの積極的な活用を図り、廃棄物の徹底した再資源化、無害化、減量化等のリサイクル事業を推進すると同時に、回収エネルギーを地域に供給しようとするものです。
これにより地域コミュニティとの調和を図りつつ、金属資源の循環利用と環境保全に資する構想であり、平成7年から具体的な調査検討が行われています。
鉛亜鉛鉱山により栄えてきた町である宮城県の鶯沢町では、鉱山閉山後衰退、過疎化の一途にあったが、鉱山の町として蓄積された技術や歴史的資産を活かし、観光坑道の開発事業に取り組んでおり、平成2年には「細倉マインパーク」を開設し、観光の町への転換を図っています。
鶯沢町では、地域産業の活性化の拠点として、また再資源化施設を一般に公開することによる新たな観光資源としてRMP事業を展開することを検討しています。
■年間約120万トンも発生し、ほとんどが埋立処分されている廃家電及び廃自動車のシュレッダーダストについては、両業界ともにその減容・リサイクルに向けた取り組みを強化しています。
日本鉄リサイクル鉱業会の試算によると、平均的なシュレッダーダストには重量比で、銅3 %、鉛0.3%、亜鉛0.5%が含まれており、単純計算すると年間で銅3万6000トン、鉛3600トン、亜鉛6000トンが毎年廃棄されています。
また、家電製品の原型埋立分(年間23万トン)には9.4 % (5万8000トン)の銅が含まれており、これらを鉱物資源として捉え、リサイクルしていくことで資源の安定供給を確保することができます。
非鉄金属の多くは鉄よりも融点が低いため、鉱石から精錬するよりも少ないエネルギーで再生できるなど省エネにもつながります。
そこで注目されるのが通産省が95年に掲げた「リサイクル・マイン・バーク(RMP) 構想」です。
この構想は閉山した鉱山に残された選鉱、製錬、坑排水処理施設を利用してシュレッダーダストをはじめとする金属含有廃棄物から金属を回収、再資源化しようというものです。
2001年4月に施行される家電リサイクル法への対応策としても注目されており、自治体と非鉄金属メーカーなどが中心となって各地で取り組みが進められています。
RMP構想の初年度認定を受けた北中部地域では、神岡鉱業(岐阜県吉城郡)と日鉱三日市リサイクル(富山県黒部市)を中心に計画が進められています。
神岡鉱業では認定の前年(94年)から自動車用バッテリーのリサイクルを開始、現在は月4000トンのバッテリーを処理して鉛、金、銀、プラスチックを回収・再資源化していますが、今後は廃家電・廃OA機器、シュレッダーダストなどからの有価金属の回収・減容化についても検討を行なうことにしています。
日鉱三日市リサイクルは日鉱金属の三日市製錬所を母体に95年11月に設立しました。
シュレッダーダストの焼却処理を行なうと同時に電気炉を利用して亜鉛滓など亜鉛二次原料から蒸留亜鉛を取り出しています。
この製錬プロセスは蒸留亜鉛だけではなく、銅及び鉛も濃縮して回収できるのが特徴で、回収した銅滓と鉛滓は日鉱グループの佐賀関製錬所(大分県佐賀関町)に輸送され銅及び鉛地金として再生されています。
ただし、富山県が98年度に行なったシュレッダーダスト処理事業の経済性評価では、シュレッダーダスト、廃プラ、廃液の受託処理収入と銀など地金の販売収入の合計は2771万2000円/月。
一方、焼却や製錬、スラグ処理にかかる費用は3174万7000円で、403万5000円の赤字となっています。
主な原因は金属回収コストが地金販売収入の2 倍以上もかかることで、試算では現状(800トン/月)の2 倍以上のシュレッダーダスト処理を行なえば経済的に事業が成り立つことから、廃家電・OA機器受け入れ拡大の方向で検討を進めています。
■一方、とくに休廃止鉱山の多い東北地方ではRMPを地域振興事業に位置づけており、モデル地域の秋田県北鹿地域では98年6 月、県、鉱業関連企業、地元自治体などで構成する「リサイクル・マイン・バーク推進協議会」を設立しました。
同和鉱業系の花岡鉱業の花岡鉱山(秋田県大館市)と小坂製錬の小坂製錬所(小坂町)の鉱山跡地を利用した、家電リサイクル事業化への取り組みが具体的に動き出しています。
計画では東北3県(秋田、青森、岩手)を対象にテレビ、冷蔵庫、洗湿機、エアコンの4品目を回収し、花岡鉱業の選鉱設備で破砕、浮遊選鉱機で銅や鉛を取り出します。
それを小坂製錬所に運び、純度の高い金属に再生し、作業過程で発生する焼却灰も道路の路盤材などに活用します。
すでに小坂製錬では、電線くずや電子基盤からの金属回収や廃パッテリーからの鉛回収など一部事業化していますことから、廃家電の収集システム及び最低限の前処理施設さえ整えばすぐにでも対応できるという報告があります。
99年7月から実証試験を開始し、作業工程やコストを盛り込んだ報告書を2000年3月までにまとめる方針です。
家電リサイクル法の施行に合わせて工場を稼働する予定で、事業主体は同和鉱業が99年7月に設立したエコリサイクルです。
地元からの新規採用を中心に50から60人の雇用が生まれる見込みです。
サテライトと呼ばれる一時保管施設を18カ所に設けて回収効率を上げ、当面は3県で排出される家電4品目の30%に当たる年間約13万2000台を確保する計画です。
これに合わせて県では通産省のエコタウン事業の99年度認定を目指し、家電リサイクル、堆肥化施設、固形燃料発電を柱とする県北部エコタウン構想を掲げており、認定されれば事業費の半分が補助されることになり、計画が一気に加速することは間違いありません
■87年の細倉製錬所の閉鎖に伴い過疎化が進んだ宮城県鶯沢町でも、新たな産業として使用済みバッテリーから鉛を取り出すリファイン事業に取り組んできましたが、97年度から家電リサイクルに向けた調査検討も開始しています。
消費者からのリサイクル費用があれば年間JO万台の処理で採算がとれるとのことです。
同町もエコタウンの認証を狙っており、旧細倉中学校跡地に建設する公開型家電リサイクル工場を中核施設に位置づけた「環境と調和する地域づくりプラン」を策定しています。
三菱マテリアルを中心に家電メーカー数社で新会社を設立し年間30万台を処理する予定です。
かつて鉱害を経験した同町は産官民のパートナーシップに基づきソフト面に重点を置いており、施設や情報を公開することで1)サイクルを全県に波及させる効果を狙っています。
現在、鉱山・製錬事業所は全国に46カ所あり、そのほとんどが二次原料という形でスクラップ、廃棄物の受け入れを行なっています
家電リサイクル法の施行を目前に控え各家電メーカーではリサイクル工場の建設に余念がありませんが、個別の取り組みには限界があります。
RMPは既存の鉱山施設を利用することにより少ない投資で迅速にインフラを整備でき、また、地域の産業振興にもつながることから今後の動向が気になるところです。
2001年2月。
■ 環境を新しい価値観とした新しい事業が注目されています。
廃家電を「現代の鉱石」と位置づけ、衰退の激しい各地の鉱山や精錬場の跡地や施設、技術を活用して、資源の安定供給と環境の調和を図ろうとするリサイクル・マイン・パーク(RMP)構想が、経済的インセンティブを伴う事業として動き出そうとしています。
■ 「再び山に火が灯った。
この火を消してはならない」と、鉱山の町の再生に向けた意欲が高まっています。
これまで自動車の廃バッテリーやシュレッダーダスト、電線くずなどに含まれる非鉄金属(鉛、銅、亜鉛など15種類)のリサイクルを行ってきた鉱山の町に、いま強い追い風が吹き始めました。
家電4品目を対象としたリサイクル法や、予定される自動車や家電4品目以外の電気・電子機器のリサイクル法など、これらの動きが追い風となっています。
リサイクルの対象となった使用済み製品の適正処理、資源リサイクル、焼却エネルギーの有効利用、重金属による公害防止など、多様なメリットがそこに期待されています。
経済的なメリットも大きく、リサイクルプラントの建設や運用にあたっては、既存施設や鉱山技術をそのまま活用できるため、低コストでの運用が可能です。
また、動脈系メーカーのリサイクルプラントとは異なり、地域の特性を理解した上で事業展開ができることも強みです。
この地が将来、地域の再生の核として復活し、雇用が生まれることが期待されています。
地域のポテンシャル向上や循環型社会の産業構造を支えるバイロット事業として、注目されています。

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