Thursday, November 13, 2025

静かな確率の秤-セキュリティとトレードオフの理性(2003年-2025年)

静かな確率の秤-セキュリティとトレードオフの理性(2003年-2025年)

人間のリスク判断は、恐怖や話題性によって容易に歪められる。カーネマンの「システム1」は直感的で感情に支配されやすく、「システム2」は熟慮的で確率的な思考を担う。だが多くの人は基準率(実際の発生確率)を無視し、印象で判断してしまう。日本では入浴事故が年間2万人近くに上るのに対し、航空事故の死者は極めて少ない。それでも人々は「飛行機は怖い」と感じ、「浴槽は安全」と信じる。この逆転は感情が理性を凌駕する証であり、セキュリティや社会のリスク管理でも同じ構造が見られる。重要なのは、「怖さ」ではなく「起こりやすさ×損害(期待損失)」で判断することだ。恐怖や印象ではなく、基準率と影響度を冷静に考慮する姿勢こそが、賢明なセキュリティ判断の基礎となる。感じて、数えて、考える-
その順序が理性を支える秤となる。

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