Tuesday, November 11, 2025

池袋ロマン街 原一男(1974年7月)

池袋ロマン街 原一男(1974年7月)
1974年、高度経済成長の終わりにあった東京では、繁栄の裏に孤独と虚無が漂っていた。原一男は、その象徴として池袋の夜を選び、街に交錯する男女の欲望と孤独を観察する。彼の筆致は冷静でありながら情熱を孕み、都市の光と影を映像的に切り取る。まだ劇映画とドキュメンタリーの境界を探っていた原の視線は、後年の『ゆきゆきて、神軍』へとつながる社会観察の原点でもある。当時の若者文化は、政治の理想を失い、アングラ演劇や自主映画などに表現の場を求めていた。原が描く池袋は、退廃ではなく都市の生々しい呼吸を感じさせ、登場人物を善悪で裁かず、人間の欲望と弱さをリアルに捉える。そこには現代日本の原型ともいえる"都市の情念"が宿り、原の視線は社会の矛盾と生の輝きを同時に描き出していた。

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