Thursday, November 13, 2025

闇を裂く声 山崎哲と「つんぽさじき」(1974年夏)

闇を裂く声 山崎哲と「つんぽさじき」(1974年夏)
1970年代のアンダーグラウンド演劇の熱気の中で、劇作家・演出家の山崎哲は、劇団「つんぽさじき」を率い、舞台『暗殺』を生み出した。この作品は、幕末維新の混乱を背景に「剣の魔性に憑かれた人間の業」と「暴力の循環」を描いたもので、当時の日本社会の影を象徴するような、荒々しくも詩的な舞台であった。彼の演劇は単なる時代劇ではなく、時代の病理を人間の身体を通して表現する試みだった。
1974年当時、日本は高度経済成長の終焉を迎え、全共闘運動の挫折を経た世代が「政治」から「表現」へと向かう時代であった。山崎はその潮流の中で、社会の閉塞を突き破るように演劇の可能性を追求した。彼の舞台では、怒りや絶望が静かに燃え上がり、観客は「生きることの不条理」と「暴力の必然」に直面する。『暗殺』の剣戟の音は、同時代の政治的混沌と人間の内なる衝動を象徴するものだった。
公演は名古屋の七ツ寺共同スタジオや信州大学、明治大学などで行われ、地方都市や学生文化とも深く結びついていた。山崎哲の演劇は、寺山修司や唐十郎のような都市的幻想よりも、現実に足をつけた「民衆の身体」を舞台に取り戻そうとする運動でもあった。
山崎が描こうとしたのは、暴力ではなくその根源にある「生の叫び」である。彼の演劇は、敗北と再生、混沌と希望が入り交じる1970年代の日本において、闇の奥から響く時代の声であり続けた。

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