広がる製品の所有から機能利用というサービサイジングというビジネスモデル
従来、製品として販売していたものを、その製品の持つ機能を提供することで
代金を得るというビジネスモデルが広く普及、定着しつつ ある。いわゆる「サ
ービサイジング」というサービス業のひとつの形態で、主にモノ(製品)を販売
してきた従来のビジネスに対して、そ れに係わるサービスの提供を主に収益源
とするビジネスである。
具体的に言うと、わたし達が家電製品や自動車などの製品購入にあたり、購入
目的が製品そのものの「所有」ではなく、製品の持つ「機 能」を利用すること
が目的である。エアコンならば、エアコンがもたらす快適な室温、自動車ならモ
ビリティ(場所移動)という機能を利 用したいからこそ製品を購入するのである。
言ってみれば製品はサービスを提供するための手段であり、ポイントはどんな製
品を選んで 、如何なるサービスを提供して、顧客を満足させるかにかかってい
る。
一例をあげると、複写機メーカーは、特に法人向けには複写機自体を売るので
はなく、複写機の持つコピー機能を提供している。法人の オフィスに複写機を
設置して、コピー機能が発揮・維持できるための定期的な保守点検(メンテナン
ス)、新機種提供による機能更新、コ ピーに必要な紙やトナーなどの周辺部材
の提供。その対価としてサービス料を受け取る仕組みだ。
このサービサイジングのサービス形態にはリースやレンタル、シェアリング
などが挙げられる。最近ではシェアリングが新たなビジネス モデルとして注目
されている。中でも、オフィスや自動車などのシェアリングビジネスが都市部中
心に拡大している。
●環境負荷の低減と顧客のメリットも大きい
サービサイジングには「グリーン・サービサイジング」という環境負荷の低減
に寄与するビジネスモデルも。サービサイジングの仕組み の特徴として、製品
の所有権がサービス提供者サイドにあるため、使用済み製品が提供者の元に戻っ
てくるという使用済み製品の適正処 理、資源循環(リサイクル)の促進にも寄
与するのである。
松下電器(現パナソニック)が02年に開発した「あかり安心サービス」はグリー
ン・サービサイジングの一例だ。松下電器は蛍光灯生産量 ではトップメーカー
で、これまで蛍光灯をユーザーに売ってきた。その中で蛍光灯を大量に使用する
大規模事業所や工場などが「あかり 安 心サービス」の契約を結ぶと、契約期
間中なら定額料金で蛍光灯の貸与からメンテナンス、使用済みの蛍光灯の回収、
委託処理業者 への 回収指示、処理に伴うマニフェストの発行、保管・管理・
適正処理確認までのトータルサービスを提供するものだ。最大の特長は 蛍光灯
を売るのではなく、あくまで蛍光灯の所有権はメーカーに残したまま「あかり」
という機能を提供する点にある。低価格競争が 進む中で発想され機能提供サ
ービスの一形態でだが、メーカーは使用済みの蛍光灯の回収・適正処理が行えて
、一方顧客にとって経費 節減、廃棄物処理が円滑に行えるというメリットが
あり、相互にウイン、ウインの関係を取り結べるのである。
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