Sunday, February 1, 2026

しばらく前まで、建築物はある程度の年数が経ったら壊して建て直す「スクラップアンドビルド」という考えが当たり前だった。

しばらく前まで、建築物はある程度の年数が経ったら壊して建て直す「スクラップアンドビルド」という考えが当たり前だった。
その後、建物をより長く維持保全しようという「リビルド」の考えから竣工後10~15年程度で大規模改修工事が行なわれるようになる。
当初の改修工事の狙いは、頻繁に使われる修繕コストを抑えるという経済的な理由が大きな部分を占めていた。
しかしながら近年はそれに加え、建物の長寿命化による省資源、行き場のなくなる建設廃棄物の削減といった環境負荷低減の側面から、改修工事に注目が集まり始めている。
そうした中、業界内ではいち早く改修工事を環境ビジネスとして捉え、環境対応型の改修工事で差別化を図っているのがヤシマ工業株式会社だ。
小里洋行社長にお話を伺った。
新築工事とは違った難しさ。
改修工事とひとくくりにしているが、その中身は広範な工事技術から成り立っている。
工事前の調査に始まり、足場架設、外壁補修、構造補強、屋上防水、仕上げ工事、外壁洗浄などなど。
同社は1964年の設立以来、「ストックメインテナンスを通じて社会に貢献する」との企業理念で、集合住宅を主力に、商業ビルなどの改修工事を手掛けてきた。
集積された確かな技術力で、これまで堅調に実績を積み重ねている。
環境支持という社会背景の変化により、これまで建物の延命化ということで極々普通に営んできた改修工事業が、環境配慮につながる事業であり、どうしたって今後社会的な要請はさらに高まるだろうとの認識が数年前からあった。
「さらにいえば改修工事には新築工事とは違った難しさがあります。
その際たるものは、そこに住んでいる、あるいは働いている人たちがいつもどおりに生活する中で作業を進めなければならないこと
となれば安全性はもとより、衆人監視の中で環境への配慮は欠くことのできない要索になるでしょう」。
実際、同社が主力としている集合住宅の改修工事では、工事前にほとんどの場合、入札各社から住民へのプレゼンテーションがあるが、そこではここ数年、「積極的な環境配慮を求める声が年追うごとに大きくなっている」という。
同じ工事をするならばより環境配慮された方を選ぼうという機運が高まっている。
そこで同社では、99年7月から環境対応型の改修工事をスタートさせた。
そもそもから環境配慮の意味合いが強かった専業においてさらに環境対応を進めることにより、単なる改修工事からの脱却を図り、環境に準拠したサービスとしての付加価値を高めることが狙いだ。
改修工事そのものを環境対応型に転換。
環境対応型の改修工事とはいったいどんなものなのか。
その柱は大きく分けて2つ。
1.工事現場での廃棄物の削減、2.工法上の揮発性有機化合物(voe)の削減だ。
まず廃棄物の削減だが、現場からはかなりの量の廃棄物が排出される。
養生ビニールやコンクリートガラなど産業廃棄物だけでも、同社98年度実績で請負金額1000万円当たり7.56立方メートル、4トン車換算で1.26台分。
さらに現場からは産業廃棄物だけでなく、飲料缶や弁当箱なども排出される。
延べ500人の作業員が従事する現場であればその量はばかにならない。
これら廃棄物を削減するためにされているのが分別排出やリターナブル容器の利用だ。
分別は10分別を実施。
それぞれの缶はつぶしてから捨てるほどの徹底ぶり。
「現場の教育が最初は難しいですが、慣れれば割合スムーズに実施されています」という。
また塗料で利用している18リットル缶はリターナブル容器を採用した。
これまで塗料缶は汚れを落とすのに手間暇がかかるため、再利用はおろか、再資源化もほとんどされておらず、使い捨てだった。
そこで塗料メーカーとの協力で内側が汚れないようビニル袋に入れた塗料を缶に収める形のリターナブル容器を開発した。
使い終わった缶は販売店が回収し、メーカーへ納入される仕組みでデポジット制となっている。
国内であまり例を見ないシステムを構築している。
「こうした試みはちょっとした手間もかかり、デポジット制といっても従来よりは若干コストがアップする。
とはいえ、廃棄物処理コストの削減や、ごみひとつ落ちていない整然とした作業環境などプラス面は大きい」。
98年度比で容積にして50%、重量換算で30%削減の99年度目標も達成の見込み。
同社ではこれまで請負金額のうち平均して約1.2%が廃棄物処理コストだったが、これが単純計算でも半分になるわけだから、わずかではあるが一方、voeの削減は、塗料やウレタン防水などで水性化を実施している。
欧米ではvoeの使用量規制が法制化されている国もあるが、日本ではさまざまな団体から出されている指針・勧告の類は多いものの規制はされていない。
だが、いずれ日本でも規制物質のひとつになるのは確実と見られている。
「規制うんぬんは別にしても、水性塗料は種類、数ともに出揃ってきましたし、価格、性能とも有機溶剤系塗料と遜色ないレベル。
ならばよりベターな方を使わない手はないと思います」。
従来型の改修に環境配慮というサービスを付加することで、他社との差別化を図る。
同社の持つ技術では、アスベスト除去も欠かせない。
学校や工場、倉庫などの天井や壁に耐火被覆、防音材として使われている吹付アスベストの除去で、同社の98年度実績は75立方メートル。
同社では99年10月にホームページを開設したが、中でもアスベスト除去工事に関する問い合わせは後を絶たないという。
最近ではISO14001取得を予定する工場からのアスベスト除去工事の依頼も増えており、今後も増加が予想される。
併せて、これまでの吹付アスベストだけでなく、スレート板、ボード類などアスベスト製品除去への対応も増加傾向にある。
今後、同社が目指しているのは総合環境配慮型改修工事。
これは改修工事と同時に、分散型クリーンエネルギー、屋上緑化、中水道、省エネ窓ガラスへの断熱フィルム施工など、環境側面の機能を高めようというもの。
さまざまな技術など各社と連携し、ぜひ実現させたいことだ。
小里社長は意気軒昂。
「長寿命化はもちろん、もっと多様な環境配慮の顧客ニーズがこれからは生まれるはず。
いずれにしても環境に配慮した新しい改修工事のあり方を拓いていきたいですね」という小里社長の言葉の奥には、長寿命化、環境配慮の改修工事の視点から新築施工に対しての提案もある。
2000年内にはISO14001認証取得予定。

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