子どもたちが思う存分自然を体験することのできる「自然学校」のプロジェクトが環境、農水、建設、林野の4 省庁それぞれで97年度から本格的に動き出す模様だ。
環境庁は97 年度の予算に「ふれあい自然塾整備事業」をあげている。自然を楽しみ、初歩的な知識の学習、体験ができる滞在型施設をつくろうという計画。1 施設20低円程度を予定しており、97 年度は国が一つ、都道府県への半額補助を二つの約12億円を計上している。
農水省は「やまびこ学園交流体験事業」を打ち出し、予算を要求中。中山間地域の子どもたちと都会の子どもたちの交流を目的に山村や離島に自然学校的な施設を作り、都会の子どもに自然を体験してもらう。また、山村地域への受け入れ体制を整備するため、農林漁業経営者、農家民宿経営者などに対する協力を求めていく。1 施設2 億5000万円で、97年度は4施設を予定。
建設省河川局では文部省とタイァップして「水辺の楽校(がっこプロジェク-卜」を計画している。川の水質を浄化したり、瀬、淵、せせらぎなどを整備し近隣の小中学校に自然学習の場を提供しようというもの。全国の市区町村からプランを募集、選抜するが、市民団体やポランティア団体どの共同作業を特に重視している。内容が優れた「水辺の楽校計画」と認められた市区町村には活動経費の一部を助成することも考えている。
林野庁は、97 年度から従来の「もりの学園整備事業」を拡充していく。同庁の「レクリエーションの森」内に野外スポーツ施設や学習施だ設を整備する計画で、森林·林業技術(例えば炭焼き)などを体験できる研修施設や作業小屋の他、展示室·資料室・視聴覚室なども併せて整備し森林とのふれあいの場をつくる。都道府県を事業主体に全国に12ヶ所設置する考えで、予算2億4000万円。4 ヶ所の施設に半額程度の補助を予定。
現在、子どもたちに対する環境教育は自然体験的なものが主流になっているが、自然体験の段階で終わってしまうものも少なくない。今回の施設では、自然体験プラスそれに付随した施設、プログラムで効果的に、さらに一歩進んだ環境教育が行なえる可能性がある。
また、いずれの計画も市民の協力を得るため「友の会」のような組織をつくろうとしているのが特徴。その背景には指導貝が不足している事が挙げられる。こどもエコクラプとして登録されているものの実際に動いていないものも多く、これも指導員の確保ができないことが要因のひとつ。最近環境教育の場では、地域を巻き込んだ環境教育ということで、地域から人材を発掘しようという動きが高まっている。「友の会」設立は、施設だけでなく人材面もフォローしていくものとして注目できる。
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