2023年10月8日日曜日

資源セキュリティ としての海洋資源開発時代到来 2011.01.20

 資源の多くを海外に依存する資源小国の日本は、これから深刻化の度合いを深める国際的な資源インフレと資源ナショナリズムに拠る資源争奪戦に伴う資源セキュリティの確保が政治・経済的な重要テーマに浮上する事は自明の理である。そうした中で、海外に頼らない自前の純国産資源開発が速やかに求められている。それなりの成果を上げている再生可能なエネルギーや未利用エネルギー開発の他、にわか下図の通り。日本のEEZが広いのは、離島の数が多いためだ。日本は北海道、本州、四国、九州、沖縄本島のほか、6847の離島が北から南まで点在することが、EEZの広い理由になっている。さらにEEZ、および領海の海の体積、つまり日本の海水盪の量は1580万キロリットルで、世界で4番目となる。陸上資源に乏しいものの、日本の周辺海城には鉱物資源を含む豊富な海底資源が、埋蔵されているのである。

 ●日本の海域は世界第6位今世紀に入って陸上資源の枯渇が現実味を帯びてきたため、海洋資源に熱い視線が注がれるようになった。中でも未開発の海底鉱物資源は魅力で、領海を持つ国々はその開発に着手し始めた。日本はこの分野では優利なポジションにあり、将来的に世界有数の海洋資源国としての可能性を秘めている。日本の国土、つまり領土の面積は約38万平方キロメートル。世界の国・地域で見ると61番目の広さで、最も広いロシアの45分の1だ。しかし日本の持つ海の広さに目を転じると、日本の姿は違って見える。日本が他国を排除して、経済的様々な権益を持つ「排他的経済水域J(EEZ:海の憲法といわれる国連海洋法条約により沿岸から200海里・約370キロメートルまでの範囲内で設定することが認められ、境界が隣国と接し排他的経済水城が重複する場合には両国の合意で決められる)と、領海を合わせた面積は国土の約12倍の約447平方キロメートル、世界で6番目の広さになる。通常「日本の海」と表現するのは、この排他的経済水城と領海をプラスした海域のことである。EEZプラス領海の世界一位はアメリカ(762万平方キロメートル)、2位オーストラリア(70 1万平方キロメートル)で、3位以下は下図の通り。日本のEEZが広いのは、離島の数が多いためだ。日本は北海道、本州、四国、九州、沖縄本島のほか、6847の離島が北から南まで点在することが、EEZの広い理由になっている。さらにEEZ、および領海の海の体積、つまり日本の海水盪の量は1580万キロリットルで、世界で4番目となる。陸上資源に乏しいものの、日本の周辺海城には鉱物資源を含む豊富な海底資源が、埋蔵されているのである。


1)海の生態系から得られる水産資源日本の沿岸部は「世界三大漁場」と呼ばれている。世界三大漁場とは日本沿岸のほか、北大西洋に面するアメリカ東岸から、カナダ・ニューファンドランド島の東沖に広がる「グランドバンク」と呼ばれる海域。もうひとつはイギリスからノルウェイにかけての「北海周辺」の海域,日本沿岸部は南から黒潮(暖流)と、北からの親潮(寒流)が交わる漁場であり、魚影も魚種も豊富だ。世界には約2万8000種の魚種が存在する。うち約3800種が日本沿岸部に生息している。日本はそれぽど豊かな水産資源に恵まれている国である。しかし、そうした豊かな水産資源を十分に活用してないのが実情。日本の漁業は年々衰退している。日本の食料自給率はカロリーベー双で40"/4といわれ、先進諸国の中では一番低い。将来的に食料資源不足で輸入が途絶えると、単純計算で5人に3人は餓死状態である。食料自給率の中で、食用魚介類の自給率は62%だが、漁獲高から見ればピーク時の1984年に1282万トンから2008年には569万6000トンまで減少している。背景には漁業従事者の減少が挙げられる。2007年の日本の漁業者数は全労働者人口6668万人中約20万4000人で0.3%に過ぎない。減少の理由としてはまず挙げられるのは沿岸漁業従事者の一世帯あたりの平均年収が274.2万円と低いからだ。そして従事者の高齢化だ。

 ●今後の漁業のビジネスの可能性はどこにあるのか?遠洋、沿岸での漁船での漁業は海洋汚染、地球温暖化による海流の変化の対応、漁船や漁法の技術向上による漁業従事者の労鋤環境の改善が求められる。一方、水産資源の減少と漁業従事者の低収入克服に有効なビジネスとして期待されているのが、沿船訳の魚介類の養殖を主とする「海面養殖漁業」だ。近年では、プリやタイなどの魚、カキやホタテなどの貝類、ウニ、エピ、マグロなどの高級食材が養殖されている。海面養殖漁業は漁業組合単位あるいは企業単位のふたつの形態に分かれ、1人あたりの平均年収は538.4万円である。ただし、養殖による海の環境悪化、魚の餌の化学物質の人体汚染などの安全性が課題として残る。また各地で未利用魚の活用が、ピジネスチャンスとして取り組まれている.漁業操業時に漁獲対象魚とともに捕獲されてしまう「漁獲対象外の魚種」や漁獲対象であっても「サイズが合わない魚」など、いわぽ規紡卜の魚を未利用魚として捨てられているが、この未利用魚を商品として市場に流通させようという動きがある。未利用魚の漁獲比率は底引き網漁では40~50%、定置網漁、まき網漁では20"/o程で、日本近海で行われている漁業全体では30%が未利用魚として海に捨てられているという。一般的に国内で水揚げされている魚は約500種であり、店頭に並ぶ魚種は多くても100程度、つまり400種は消費されないでいる。この未利用魚の商品化に積極的なのが愛知県蒲郡の株式会社プロスーパーだ。事前に漁師たちに未利用魚を海洋投棄せず市場へ卸してもらうように依頼。適正な値段を付け買い取っている。当初は漁港の仲買いたちに不評だったが現在は漁師たちの支持もあり、漁師の救世主になっている。この未利用魚の活用によって漁獲高は30%増、漁師の収入増につながる。

 ●海藻のパイオ燃料化日本政府は2030年までに年間600万キロリットルのバイオエタノールの生産計画を立てているが、農産物や廃棄物の利用だけでは達成できない。そこで注目されているのが日本周辺海域に多く繁殖している海藻をパィオエタノールの原料とする開発が進められている。東京海洋大学や三菱総合研究所、三菱重工業、三菱電機、清水建設など各分野・業界の連携による研究グループは、養殖した海藻からバイオエタノールを大盪生産する構想を07年3月にまとめた。日本海の浅瀬にある大和堆に1万平方キロメートルの養殖場を設営し、そこで繁殖力の強い海藻のホンダワラを養殖。収穫した海藻を船上に積んだバイオリアクターで陸地に運ぶ計画だ。海藻の主成分のうちフコイダンの分解酵素は見つかっており、今後はアルギン酸の分解酵素の用途、プラント開発・コストなどの研究を総合的に進める。テングサを原料とした寒天の特性を活かしてバイオプラスチック生産口肝規参入する企業もある。寒天メーカー大手の伊那食品工業(長野県伊那市)は、食品容器素材として藤沢工場(同市)で生産中の可食性フィルム「トンボのはね」のさらなる用途開拓を図る。同フィルムは冷温水の可溶性、生分解性に加え、他の包装材と比べてもガスバリヤー性に優れているほか、ヒートシールによる製袋加工、写真・イラストなどの印刷ができ、機能面でもバイオプラスチックや他の疇碑材に十分対応できる。同社は化粧品分野のほか、電子材料や日常雑貨類での活用を模索する。

2)海底資源からの鉱物資源日本の海には、石油、石炭に続き、次世代エネルギーとして期待されているメタンハイドレートが膨大な量で埋蔵されている。メタンはエタン、プロバン、プタンといった物質は炭素と水素が結合した「炭化水素」の一種で、身近な燃料と利用されている。都市ガスの成分の9割がメタンである。ハイドレートは「化水物」「水和物」と訳され、化合物に水が含まれているものを意味する。つまりメタンハイドレートは水の分子に天然ガスのメタンの分子が取り込まれ、水状とになっている物質のことをいう。しばしば「燃える水」と呼ばれる。深海のように温度が低く圧力が高いという条件で組成される。日本の海の底には、日本の天然ガス消費量(2005年)の約94年分に相当する7兆3500億立方メートルのメインハイドレートが眠っていると推定される(1996年発表咲然ガスハイドレート&メタン量と資源量の推定』地質学雑誌)。メタンハイドレートの埋蔵形態は、海底面近く。海底の泥層中、砂層の孔隙などさまざまだが、もっとも開発に適しているとされているのが砂層の孔隙だ。石油や天然ガスの開発技術が活用可能だからだ。日本でのメタンハイドレート開発は2001年から3段階で進められている。2008年までのフェーズ1は科学的な実験、検証の時期。そして現在はフェーズ2で生産最の増大と環境への影響調査だ。2010年5月に開かれた海洋基本法フォロウアップ研究会では「10年間で商業化したい」という。国家予算は世界最大規模(2010年は前年度と同じ46億円)で、開発技術においてもトップランナーを走っている。開発のフェーズ3 (2016年~2018年)は商業ベース化の準備段階で、ここから民間企業が乗り出す計画だ。メタンは都市ガス以外、主に天然ガスとして火力発電に利用されている。日本は天然ガスを超低湿化で液化させ、液化天然ガスにして輸入している。その輸入比率は約96.4%。したがってメタンハイドレートの商業化が成功すれば、日本はエネルギーの海外依存から脱却できるだろう。

 ●海底熱水鉱床に眠る鉱物とレアメタル 海底熱水鉱床とは水深1000--3000メートルの海底の地下に浸透した海水が、海底火山のマグマなどにより熱せられると、海灼お也殻に含まれている有用な元素を抽出しながら噴出する。それが海底で冷却され沈殿し堆積する。これが海底熱水鉱床のできるメカニズムで、火山性列島の周辺海域に分布する多金属硫化物鉱床だ。現在、世界の約350カ所にあり、そこには多種多様な鉱物(下表)が埋蔵されている。ガリウムは青色発光ダイオード(LED)、セレンはコピー機の感光ドラム、テルルはガラスの着色料、ちっ素は農業に利用されている。海底熱水鉱床の商業化については現在のところ不明。試算では50kgの海底熱水鉱床を引き上げるために1000万円のコストがかかる。大幅な効率化が課題だ。政府は2011年度予算に107億円を組んでいる。海底には、その他レアメタルを含んだ鉱物が広く分布している。マンガン、銅、ニッケル、コバルトなどを含むマンガン団塊(215cm)が岩盤の上に付着し板状になったものを「マンガン・クラスト」「リッチ・クラスト」と呼んでいる。コバルト・リッチ・クラストは水深800~2400メートルの海山の斜面から山頂部にかけて岩盤を覆っている。日本では南鳥島近くの海底に確認され、コバルトの他には金の含有量が多いと推定される。2005年にはこの海域の有望な海山を選定し精密ボーリング調査を開始している。その後、国際海底機構に対し鉱区申請を行う予定。

3) 海水中に浮遊する資源海水にも多くの元素が含まれている。これらの物質を採取する技術の研究が進めば、海水そのものが国家資源となり得るのだ。しかも資瀕は地球を2000年かけて周回しているため、海水に含まれる物質は無尽蔵だ。食塩の工業原料として使われる塩は、世界で年間約2億トン生産され、その約3分の2が岩塩、残りが海塩から精製されている。世界で生産される塩の半分以上は苛性ソーダなどソーダ工業原料に利用されている。塩化ナトリウムが主成分の食用塩は年問約700万頃iを消費するため、全量をメキシコや豪州からの輸入に頼っている。海水には塩分のほか、酸素と水素のほか、マグネシウム、臭素、ヨウ素、リチウム、金、銀などが微量だが多様に含まれている。将来的に見れば工業原料として考えられ、京都大学の古谷仲秀樹教授らは、海水など液体中に極微量含まれる金を吸着・回収できる素材を開発。従来の溶媒抽出では数ppm (百万分の1)の濃度が限界だったが、ナノサイズに加工した暉二酸化マンガンを使い、約lppt (1兆分の1)レベルの金の回収が可能になった。

●新エネの供給源として本格着手の海洋エネルギー設備利用率から見た海洋エネルギー利用の経済性を比較すると、左の表のように、国内で普及する太陽光よりも海洋工ネルギーの経済効率の良さが判断できる。設備利用率とは発電機出力X運転日数X24時間を分母として、発電電力量を分子にして計算したものだ。これを見ると、太陽光発電は風力発電の3.5~5.5倍ほど電力価格が高いといえる。風力発電でも、陸上発電は景観や自然環境の悪影響、プレードによる羽切音の騒音、複数機の設置による光の乱反射や電磁波などの問題が懸念され、最近では洋上発電へ移行しつつある。ただし洋上発電も漁業補償や送電コストなどの課題は少なくない。しかし洋上発電の場合、発電以外にも、電気を利用し海水の淡水化、電気分解による水素回収が出来るというメリットもある。海洋発電は海洋に船を浮かべるような浮遊式という展開も考えられ、この場合は海底資源事業との融合も視野に入ってくる。風力発電のほかに、表層の暖かい海水(25~35℃)と、震度200以上の深層の冷たい海水(4~15℃)の温度差を利用した海洋渦席羊発電がある。佐賀大学では伊万里市に実験プラントを設置。アンモニアと水の混合液を媒体とした効率の良いプラントを開発、世界の最先端を走っている。

 そして押してほ区す波の力磁岬した波力発電5ゞある。基枠勺疇域による海面の上杓顎hを利用して空気を圧縮し、そのカでタービンを回伝させ発電するもの。国土妃酎省の港略滋鼓術・吋によると波高1メートルで1叩凋期で1分間l::h<勺5畑の発電可能、波高5メートルでIZ!l叩が発電できる。海はシケありナギあり、波の力は不幻包現伏では出力も小さいため大型の発電プラントを作るに至っていない。し力北将来的に頃折しいエネ)茫源として⑬棚寺は稔ぎ入蒟原やセキュリティ→項見勅ヽら、海外に依存しない純国産蒟廊ま日本にとって重大な罪音である。海羊に係わる多様な資暉醗に向紺つざるを得なし峙期にきている。今後、・調雀、技術彫行、環粥斑誓a證剤弦醗邸バランスよく行われることを切望する。







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