環境税とは、環境へ悪影響を与えるもの、例えばCO2やNOx、SOx、あるいは排水、廃棄物などに課税することによって、これらの物質の排出を抑制、また環境保護のための財源を確保しようというものである。環境税を禅入する国も増えてきており、EU諸国や、OECD(経済協力開発機構)などの国際機関などを含め、環境税に関する検討を行なっている国々は世界的にも多い。代表的な環境税として「炭素税」があげられる。地球温暖化の原因となるといわれる二酸化炭素(CO,) を排出.する石袖•石炭・天然ガスなどに課税し、二酸化炭素の排出を抑制しようというもので、すでに数力国で導入されている。日本でもこの数年、環境税の議論が活発に行なわれており、環境庁「環境に係わる税・課徴金等の経済的手法研究会」を中心に環境税導入が検討されている。
炭素税の有効性と環境負荷低減効果
同研究会では96年6 月に出した報告書の中で、環境への負荷軽減に規制的手法では限界があり、経済的手法の活用が求められていること、経済的手法の有効性を打ち出している。多数の経済活動に起因し、あるいは汚染源が拡散した環境問題の場合、規制的手法では、削減目標を定め、その実施をモニターすることが難しく、行政コストが高くなり、過大な削減コストを招くが、経済的手法は、市場メカニズムを通じて、各主体が最も経済的な行動を選択することにより、最も少ないコストで最適な資源配分がなされる。また、規制的手法では、規制値を超える汚染巌削減のインセンテイプが欠如するのに対し、経済的手法は汚染量の削減が経済的利益に結びつくため継続的なインセンテイプ効果があり、技術開発に長期的にプラスの影響を与える。
環境負荷低減効果についてはどうなのか、「地球温暖化経済システム検討会」が予測している。炭素1トン当たり3000円程度、ガソリン1 リットルでは約2 円の炭素税を課すとともに`その税収をCO2排出抑制技術導入への補助金に用いれば、2000年の時点で1990年の排出最を下回るまでに削減、2010年には3%の削減効果が得られるとしている。現在すでに炭素税を導入している国は、フィンランド、オランダ、スウェーデン、ノルウェー.、デンマークの5 カ国で、各国での税率などは表1 のような状況だ。これらの国々は炭素税だけではなく、その他の環境に影響を与える物質に対しても、税金や課徴金を課している。また税収は、課税自体による効果を目指すという点から、環境対策費としてではなく一般財源とする国がほとんどである。
世界的にみても、炭素税・環境税尊入の動きは先進国では盛んになってきてはいるものの、足並みは揃っていない。産袖国アメリカは導入に反対しており、環境意識の高いECにしても、92年に「炭素税の導入に関するEC指令」を一旦は採択したものの、国際競争力の低下を懸念する産業界とイギリスの強い反対に合い、現在は棚上げ、那入には日米の導入やOECD各国の導入を条件にしている。
現状では他国の状況を見ながらということになるが、日本では、炭素税ではないにしろ何らかの経済的手法は避けられない環境政策の一つになることは問違いない。日本も温暖化という地球規模の環境問題に対して無策のままでいることは、国際的にもはや許されないことであろう。
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