**最近では、観光と環境を調和させた新しい旅のファッションスタイルとしてエコツアーが定着、人気が高まっています。エコツアーは、自然環境に与える影響を最小限に抑えることを前提に、自然を観察・理解・楽しむことを目的とした新しい旅の形です。そこには地域特有の伝統文化も含まれ、旅行者が地元の人々と交流を深め、それらの知識や認識を身につけたうえで、自然保護に対する関心を高めていきます。受け入れる側にとっても、従来のハコモノ優先で自然破壊につながる開発手法に代わる地域振興策として注目されています。
エコツアーは1960年代に北欧ではじまり、現在、欧米ではかなり広がっています。日本でも94年に日本自然保護連合日本委員会がエコツーリズムのあり方を明示したガイドラインを作成。各観光業者でさまざまなエコツアーが企画されるようになっています。
エコツアーの受入先にしてみても地域振興の一助になるとあって取り組みに積極的です。しかし、自然の中にちょこちょこ入り込むことをエコツアーと呼ぶ安直な例も目立ちます。エコツアーの概念を理解していないガイドも多く、観光業者主導のエコツアーでは自然保護や管理の仕組みが十分なされているとはいえないのが現状である。ごみのポイ捨てや自然破壊による被害も少なくない。
エコツーリズムの普及には地元の理解や協力が不可欠になるほか、既存施設の活用方法、専門知識を持ったガイドの継続的な養成など課題も多い。運輸省ではエコツーリズムの本格的な普及を図るため、環境庁や沖縄開発庁、林野庁と連携して、98年秋から沖縄や東北などでモデル地域を選定して事前調査を開始。「広域移動型」と「地域滞在型」の2種類のモデル事業を想定し、移動型では沖縄本島北部や西表島など、滞在型では世界遺産にも指定されている白神山地をはじめ、上信越や九州南部などから4カ所のモデル地区を選び、現状のエコツアーの問題点の洗い出し作業を進めています。
こうした背景のもと注目されるのが自治体主導のエコツアーである。なかでも都市部の住民が自然豊かな農山漁村で農作業などの実体験を積みながら休暇を過ごすグリーンツーリズムが急速に広まっている。グリーンツーリズムについては農水省が93年度から市町村に対しモデル構想の策定費を補助しており、構想策定に取り組む自治体は全国で280余りにのぼる。また、文部省が「総合学習」の一環として体験教室に積極的なのも追い風になっている。
京都府宮津市では、バブル期にリゾート公園予定地だった土地を市民に開放し、自然を生かしたエコパークづくり「地球デザインスクール」が97年から進められています。廃校になった小学校の木造校舎を利用し、年間を通じて里山の自然を生かした環境教育プログラムを実施。また、地元住民と協力して里山保全活動にも取り組んでいます。
エコツーリズムとグリーンツーリズムは、今後の地域振興や環境保護に重要な役割を果たすと期待されていますが、ガイドの質の向上や地域住民の理解と協力が不可欠です。**
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