2024年6月26日水曜日

汚泥のリサイクル 2001.04(84)

厚生労働省が2000年6月に発表した「産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成9年度実績)について」によると、97年度における全国の産業廃棄物の総排出量は約4億1500万トンで(前年度比2.6%減)、そのうち47.3%を占める第1位の汚泥は約1億9617万トンでした(同0.4%減)。このうちわずか5%しか再生利用されておらず、残りの13%がそのまま、82%については乾燥、焼却して減容した後、埋め立てられています。 下水汚泥に限ってみると有効利用量は約64万トン(汚泥発生時乾燥重量ベース)で、その内訳は、建設資材利用が43万トン、緑農地利用が21万トンとなっています。現状を踏まえると、汚泥をいかに利用し、最終処分量を減らすかが重要な課題となっています。 【レンガ・ブロック化】 下水道普及率の高い自治体では、大量に発生する下水汚泥のリサイクル方法として、汚泥焼却灰をプレス成型した後に焼成するレンガ・ブロック化が取り組まれています。例えば、東京都下水道局の南部スラッジプラント(大田区城南島)で製造される「メトロレンガ」や横浜市の「ハマレンガ」がその代表例です。しかし、前処理や焼成にかかるエネルギーコストの問題から、採算性が課題となっています。 【炭化】 川崎重工業は下水道や一般排水から発生した汚泥を蒸し焼きにして活性炭をつくる装置を開発しています。この技術により、汚泥中の有機物成分が活性炭に変換され、吸着剤や土壌改良材として利用できるとされています。しかし、炭化ビジネスは採算性の課題があります。 【セメント原料化】 セメントはほとんどの廃棄物・副産物を原燃料として利用でき、汚泥も例外ではありません。しかし、エコセメントは製造コストが若干高く、ユーザーの受け入れが課題となっています。一方、大林組はコンクリートの製造過程や生コン車から発生するコンクリートを洗浄する際の汚泥などを再利用する技術を開発しています。 【バイオガス利用】 下水汚泥や食品工場から排出される有機分や水分が多く含まれている汚泥については、メタン発酵させエネルギーに変換して利用する方法が注目されています。厚生労働省でも、新規のし尿処理施設について、リサイクル型のみを補助金の対象としています。また、東京都下水同局では下水汚泥の処理工程で発生するメタンガスを利用した発電設備を整備する計画が進められています。 【汚泥肥料・堆肥】 下水汚泥を原料とした汚泥肥料、汚泥堆肥の利用が増加しています。これは最終処分コストの高騰や、肥料取締法の改正により、再資源化事業が促進されたためです。しかし、下水汚泥の堆肥化事業は参入障壁が低く、競争が激しい状況にあります。

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