2024年6月10日月曜日

1999年8月(61)の環境ビジネスニュース

 「ロシアへ新環境支援」政府は新たなロシア支援策として、総額100億円規模の「露環境・エネルギー総合開発協力プロジェクト」に乗り出す方針です。柱は、温室効果ガスの削減事業の共同研究(99年度から3年間で約10億円の資金協力)、風力や太陽光など石油代替エネルギーの導入促進(99年度中に10億円規模の支援)、上水道や道路などインフラ整備の支援(99年度中に4億円の支援)です。

「臭素化ダイオキシンを本格調査」ダイオキシン類と化学構造が似ているため、同様の有害性を持つ可能性が指摘されている臭素化ダイオキシンについて、環境庁は本格的な実態調査に乗り出します。2000年度にごみ焼却施設周辺を中心に全国10カ所で大気調査を行います。臭素化ダイオキシンは、プラスチック部品などに使われる臭素を含む難燃剤を燃やしたり加熱したりすると発生しますが、国内では測定されたことがなく、汚染実態も不明です。

「都内で化学物質3万4000トン排出」東京都の調べで、発がん性、毒性のある91の化学物質が都内の工場・事業所、車から年間3万4000トン、大気や河川などに排出されていることが分かりました。工場・事業所からの排出量は91物質、計約3万1000トンです。最も多いのは染料、顔料の原料に使われるトルエンで約5700トン。次いで洗浄や溶剤などに使われる1,1,1-トリクロロエタン。業種では機械製造と印刷業などが目立ちました。

「ダイオキシン全国監視体制を整備」環境庁は2000年度から全国の海、湖、河川約4000カ所、大気約400カ所でダイオキシンを測定する方針です。2000年1月から施行されるダイオキシン対策特別措置法で水質と大気などの環境基準設定と、大気や排水として環境中に出している工場・事業所、焼却場などを指定し、排出基準値を決めて規制することを定めているため、モニタリング体制の整備が必要と判断しました。

「ハロン回収進まず濃度増加」オゾン層破壊物質ハロンの大気中濃度が日本上空で依然上昇中です。環境庁の調べでは1989-1998年の10年間で濃度が1.5-1.7倍高まり約0.004ppbになりました。ハロンは消火剤として使われ、日本では1993年末に生産が全面的に中止されましたが、それ以前に販売された消火器などから放出が続いているとみられます。規制強化後、業界団体が自主的に回収を進めていますが、これまでの回収量は生産量の1%以下です。

「ビスフェノールA胎児に影響」給食容器などからの溶出が問題になっている環境ホルモンのビスフェノールAが、1ppmという低濃度でも胎児の血液循環機能に悪影響を及ぼすことを、鎌倉女子大学家政学部の秋田正治講師らがラットを使った実験により突き止めました。ただし、今回の実験で使ったビスフェノールAの濃度は現実に人間が環境から受けるレベルよりは2桁以上高いものです。

「古紙、仕入れ値上昇」8月の関東の古紙問屋仕入れ値は新聞古紙が1キロ4〜5円、段ボール古紙も同1〜2円で前月より上値が50銭〜1円値上がりしました。製紙会社の需要が伸びているためです。とはいえ、価格は依然低水準で、この程度の値上がりでは回収増は見込めないとの回収業者の見方が大勢です。

「136処分場で施設の不適切放置」1998年春に厚生省が市町村が設置する管理型処分場を調査したところ、遮水シートなど汚水の浸透防止策を施していない処分場が538施設あり、そのうち364施設が焼却灰やばいじんを埋め立てていました。それに対し設備の改善状況などを求めたが、1999年7月の調査で136施設が、代替処理施設確保の遅れなどを理由に、遮水工事を施さないまま焼却灰の搬入を続けている実態が明らかになりました。

「世界人口60億人突破」米商務省統計局がインターネット上で表示している世界人口カウンターが、日本時間7月19日午前に60億人を突破しました。1999年1月に同局が発表した世界人口報告によると、1804年に10億人に達した世界人口は、1960年に30億人を記録した後も加速度的に増え続けています。2025年には約80億人に、2050年には約93億人に達すると予想されています。

「排ガス増減税、対象は40万台を想定」自動車環境税制研究会は7月、NOx排出量による自動車税率の変更を求める報告書をまとめました。報告書を受け環境庁は、税を軽くする対象車を2000年からの新排ガス規制を達成した低排ガス車、電気自動車など低公害車、重くする車を1978年規制が始まる前のガソリン車、1982年規制以前のディーゼルトラックなどと想定し、対象車は合わせて約40万台になるとみています。

「米トヨタに7兆円の罰金求め提訴」米司法省が7月、米国トヨタが米国国内で販売した1996〜1998年モデル車のうち、220万台が環境基準に違反しているとして582億ドルの罰金支払と違反者の無料改修の実施を求め連邦地裁に提訴しました。米では環境基準以上のガスを車が排出した場合、運転者に知らせるランプを運転席に取り付けるよう定めていますが、トヨタのシステムでは警告ランプがつかないケースがあるというものです。

「除草剤からダイオキシン検出」1990年代前半に水田の除草剤として使われた有機塩素系農薬「CNP」からダイオキシンが検出されたと農水省が発表しました。過去の分析では含有が確認されませんでしたが、分析精度の向上により検出されました。CNPは発がん性の疑いが指摘され、すでに製造・販売が中止されています。昨年までに累計7万7000トンが出荷されており、農水省では、市場に出回った製品は回収を終えたとしています。

「アルミ缶回収率過去最高」アルミ缶リサイクル協会のまとめによると、98年度のアルミ缶回収率は前年度に比べ1.8ポイント上昇し、74.4%と過去最高となりました。回収量は約20万2000トン。アルミ圧延メーカーが缶材への再利用を積極化したため、回収された缶が再び缶に利用された比率も79.0%で前年度比5.7%上昇しました。このほかの用途は主に自動車部品に使うアルミニウム合金や鉄鋼の生産工程で使う脱酸剤などです。

「中国の環境保護投資43%増」中国国家環境保護総局が発表した最新の「中国環境状況公報」によれば、98年の中国全土における環境保護投資は721億8000万元(約1兆叩乃憶円)で、前年比43.7%増となりました。このうち都市環境保護は456億元で、同77.7%増と高い伸びを見せました。中国国家発展計画委員会でも環境保護産業を新興産業として重点育成する方針を明らかにしており、中国で環境対応が徐々に活発化しています。

「環境都市目指し名古屋が基本計画案」名古屋市が今後の環境保全の総合的、長期的施策の指針となる環境基本計画案をまとめました。2010年度を目標に「環境への負荷の少ない循環都市なごや」など5つの個別目標を設け、低公害車の普及促進やダイオキシン類の排出規制、ISO14001の認証取得支援など19の施策を掲げました。8月下旬にも計画を策定し、年度内に協議会を設置する予定です。

「商社向けの環境会計手法を検討」商社の業界団体である日本貿易会が環境会計の共通ガイドラインを策定します。7月下旬から検討開始し、年内に取りまとめる予定です。環境会計は国際的な基準が確定していないことに加え、膨大な事業領域や地域対象を抱える商社の場合、費用や効果の算出が複雑にならざるを得ません。環境庁が今春公表したコストを6項目に分類する手法をたたき台に、製造業とは異なる問題点を検討します。

「自治体の分別収集状況」厚生省によると、98年度に容器包装リサイクル法に基づき分別収集を実施した市町村は、缶類に限れば全国3233市町村のうちスチール缶で2572市町村(前年度2411)、アルミ缶で2587市町村(同2420)といずれも8割に達しました。しかしながら、PETボトルでは31%の1011市町村(同631)、牛乳パックなど紙用紙パックでは34%の1111市町村(同993)にとどまりました。

「再生PET樹脂価格高騰」使用済みPETボトルを原料とした透明シート向け再生PET樹脂価格が現在1キロ80-90円で年初から30〜50%の値上がりとなりました。卵など食品パック用で塩ビ系素材から代替が拡大しているのに対し、再生業者の設備投資が遅れているためです。99年度需要は前年の倍の1万トンに達する見通しですが、繊維向けも含めた価格上昇によりリサイクル製品の増産意欲が鈍化する可能性もあります。

「環境犯罪市場、年間数百億規模」ジュネーブで国連環境計画が開いた環境犯罪をめぐる会議で、フロンガスの違法取り引き、有害廃棄物の不法投棄、希少野生動物の密輸など国際犯罪が拡大していると指摘されました。王立国際問題研究所などによると環境犯罪による取り引き規模は年間20億〜30億ドル規模に達すると見ています。国連は国際刑事警察機構などと連携強化に動くとともに、国際的取り決めの遵守を各国に促しています。

「国内でも環境犯罪23.0%増」99年1〜6月に全国の警察が摘発した環境犯罪は828件で、98年同期より23.0%増加しました。このうち産廃事件は98年とほぼ同数の158件ですが、その中で複数県の業者が関わる広域事件が23.0%増の57件、野焼き事件が87.5%増の37件でした。警察庁は99年4月から環境犯罪対策推進計画を策定し、取り締まりを強化したためで、それ以降の4〜6月でみると産廃事件は65.4%の大幅増となりました。

「希少生物に限らず調査求める」自然影響評価の実施方法で環境庁が指針をまとめました。6月施行の環境アセスメント法で地域の生態系全体の把握が求められたため、指針では調査対象とする生物種などを具体的に例示しました。希少生物だけでなくタヌキやトンボ類、チョウ類など地域の生態系を代表する生物から複数種を選び調査するよう求めています。また、地域住民が親しむ雑木林や水田、河川敷などの場所も調査対象に加えるよう求めています。

「東京湾で貧酸素水塊拡大」環境庁がまとめた東京湾の95年水質調査結果によると、7〜9月の夏期に水中の酸素量が1リットル当たり3ミリグラム未満の貧酸素状態になる地点の割合が、沿岸部ではほぼ横ばいであるのに対し、湾中央部などの延べ24地点では増加しました。89年調査ではわずか1地点だったため、これまで水質が比較的良かった水域への汚染拡大を示しています。

「環境基準達成率、河川で87%」建設省が98年の全国一級河川水質調査結果を発表しました。環境基準を満たしたのは全1094地点のうち過去最高の87%(前年比7ポイント増)でした。全国的に雨が多く、流量が豊富だったためです。最もきれいな川は黒部川(富山県)と安倍川(静岡県)でBOD平均は1リットル当たり0.3ミリグラム。一方ワースト1は大阪府、奈良県を流れる大和川で同5.8ミリグラムでした。

「水不足による食糧危機間近」急速に進む水不足が世界の食糧生産を大幅に低減させ、途上国で飢饉や水争いによる紛争が頻発する可能性があるとする報告書をワールドウォッチ研究所が発表しました。世界の水需要の約3分の2が灌漑に使われ、それにより食糧の4割が生産されていますが、増加する世界人口をまかなう食糧をつくるには、2025年までに新たにナイル川24本分の流量に当たる灌漑用水が必要になるといいます。

「大気中のダイオキシン、冬は固体化」摂南大学の研究グループは観測により、大気中のダイオキシンは夏は気体の状態で、冬になると浮遊微粒子に付着して固体化することを突き止めました。また気体状態と粒子を合わせた大気中ダイオキシン濃度は一般に夏よりも冬のほうが高いことも分かりました。大気中のダイオキシンの状態が分かったことで、人間が呼吸を通じてダイオキシンを取り込むプロセス解明に役立つといいます。

「低公害車での搬入義務づけを検討」東京都は、取引業者が庁舎に荷物などを搬入する際に低公害車使用を義務づける「グリーン配送制度」を導入する方向で検討を開始しました。現在、取引業者は約1万社。これらの業者が使用している車のうち特に大気汚染の原因となっているトラックなど大型ディーゼル車を規制対象にしたい考えです。導入までには数年の猶予期間を設け、買い換えや排ガス削減装置開発の支援策なども検討します。

「廃プラ処理量、現状の6倍に拡大」通産省が2000年4月から容器包装リサイクル法で新たに企業に再商品化を義務づける廃プラスチック製容器包装の処理見込み量を約12万トンとする予測をまとめました。現在再商品化されている量は年2〜3万トン。2000年度の見込み量の内訳は高炉原料としての再利用が約半分ですが、高炉が利用できない地域もあり、プラスチック原材料、アンモニアなど化学原料化も有望です。

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