カリフォルニア大学のモリナ博士とローランド教授は、1974年6月、イギリスの科学雑誌「ネーチャー」に掲載した論文で、大気中に放出されたフロンによってやがては成層圏のオゾン層が破壊されるであろうという警告を発した。
観測結果にもとづいて計算した大気中のフロンの量が、それまでに消費され、大気中に放出されたフロンの量と大差ないこと。いったん大気中に放出されたフロンは、成層圏に達して太陽紫外線によって破壊されるまで、数十年から数百年にも上る寿命を持っていること。そして、今のままフロンの大気中への放出がつづけば、紫外線によって分解されたフロンから放出される塩素原子は、成層圏のオゾン層を消滅させるのに十分な量に達するということ。それがこの論文の要旨であった。
モリナとローランドの警告は論理的推測にもとづくものであったが、その後、人工衛星などによる観測によって南極上空に巨大なオゾンホールが確認され、そのオゾンホールがフロンに含まれる塩素原子の触媒作用によって生じるということも立証されるに及んで、オゾン層の保護とフロンの規制が国際的な課題として取り上げられるようになった。
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