Thursday, January 23, 2025

「海に漂う黒い涙」―島根沖タンカー事故の記憶 - 1997年1月

「海に漂う黒い涙」―島根沖タンカー事故の記憶 - 1997年1月

1997年1月、島根県沖でロシアのタンカー「ナホトカ号」が原油流出事故を起こし、日本海は黒い涙に染まりました。約6000トンの原油が流出し、隠岐諸島や鳥取県の海岸に深刻な影響を与えました。特に漁業では、アワビやサザエの養殖産業が壊滅的な打撃を受け、観光業にも多大な損害をもたらしました。

汚染された砂浜を清掃するため、地元住民と全国から集まったボランティア延べ4万人が寒風の中で作業に従事しました。日本政府は油回収船やヘリコプターを動員し、油吸着材の使用を進めたものの、完全な復旧には長期間を要しました。また、ロシア政府や国際海事機関(IMO)との連携を通じ、事故原因の究明と再発防止策が議論されました。この悲劇は、海洋環境保護の重要性を再認識させるきっかけとなり、国内外で規制強化が進む契機となりました。

情報源
- 環境庁「ナホトカ号原油流出事故に関する報告書」
- 島根県および鳥取県の公式記録
- 山陰中央新報(1997年1月号)
- 国際海事機関(IMO)事故レポート
- 環境科学ジャーナルに掲載された分析論文

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