医療廃棄物の適正処理と課題:2003年2月
院内感染や処理業者の感染事故が多発する中、1992年7月に医療廃棄物の中でも感染性の高いものが「感染性廃棄物」として特別管理廃棄物に指定された。対象は血液付着のガーゼ、注射針、メスなどで、感染性の低いものは通常の医療廃棄物とされた。同時に処理業者の新規許可申請やマニフェストの義務付けも行われた。98年度の厚生省調査によると、医療機関からの感染性廃棄物排出量は15万トンに達し、収集運搬許可業者は約6000社、処理業者は400社に上る。
だが、これまで、感染性廃棄物の不適正な処理や不法投棄は絶えなかった。最近でも、02年夏に青森・岩手県境で国内最大規模の不法投棄事件が発覚した。不法投棄された産廃は、香川県・豊島事件(50万立方メートル)を大幅に上回る約82万立方メートル。マニフェストをもとに排出業者を洗い出したところ、2600の排出業者のうち、医療機関が355と最も多かった。ほとんどが首都圏の事業者で、国公立・大学病院が軒並み名を連ねているという。
感染性廃棄物1 kgの適正処理には焼却の場合、最低でも焼却費用に100円、専用の密閉容器を含めた運搬費用に150~200円がかかるといわれる。しかし92年の感染性廃棄物指定以降、処理業者の新規参入が相次ぎ競争が激化し、業者間でダンピング合戦が行なわれた。近年まで、通常の産業廃棄物処理費用20円/kgに若干色をつけた50~60円/kgという価格が横行していた。とても適正処理できるとは考えられない価格だ。
適正処理に向けた動きが活発化
こうした適正な処理費用が負担されない状況から、これまで、感染性廃棄物処理関連市場も健全に育成されてこなかった。しかし状況は変わりつつある。全国産業廃棄物連合会は96年から、処理業者が適正処理チェックリストに基づき自己チェックし、その結果を公表していく「適正処理プログラム」を開始した。また、廃棄物処理法改正で排出者責任が強化されたのにあわせ、東京都医師会では「医療廃棄物相談窓口」を設置し、医療機関の特別管理産業廃棄物管理責任者向けの教育・研修会をスタートさせたほか、日医総研(http://www.jmari.med.or.jp/)でも「日医総研認定・感染性廃棄物安全処理推進者養成講座」を03年3月から開始する。
また日本産業廃棄物処理振興センターでは96年から感染性廃棄物処理に使われる収集・運搬容器に関して、正しい処理ができる容器であることを認定する制度を始めている。02年12月現在、プラ容器として天昇電気工業(ミッペール)、出光プラスチック(メディペール)、アサヒプリテック(ディスポーザルBOX)、岐阜プラスチック(リスペール)、コダマ樹脂工業(メディカルボックス)、紙容器として日下工業(メルコンクリーン)、新潟紙器工業(セラカプセル)の容器が登録されている。プラ製20リットル容器で約3000円と若干高額なため、まだ本格普及には至っていないが、適正処理には欠かせない消耗品であり、各社とも徐々に導入が増えているという。富士システムパックグループでは「ミッペール会」を発足し、全国の
関係処理業者50社を中心に情報交換を兼ねた勉強会を開催しているほか、出光グループでは医療廃棄物情報誌「メディまる」を発刊するなど普及に向けた動きを加速している。
焼却に代わる新たな処理技術
適正な処理価格に落ち着けば、処理費用だけで450億円程度が見込まれる。それに伴い中間処理事業のほか、処理装置や運搬・回収容器などでも事業展望が開けてくる。高齢化が進んでいることで老人保健施設や老人ホーム、在宅医療など一般家庭からの排出も増加しており、市場規模はさらに拡大が予想される。
中間処理事業では、麻生鉱山(福岡県)が02年1月から北九州市エコタウンで、医療廃棄物再生工場「エコノベイト響」による試験操業を開始している。敷地面積8500平方メートルに破砕機・高周波加熱滅菌装置、選別機、固形燃料製造機、成型機などを備え、処理能力は1日当たり24トン。契約した医療機関から年間5000トンを超える医療廃棄物を回収し、破砕・滅菌した後、素材ごとに選別する。マテリアルリサイクルできるプラスチックは工場内で収集容器に再生し、契約先の病院で利用する。その他の素材は工場内で固形燃料にして麻生グループのセメント工場で利用。鉄やガラス分も、セメント原料として利用している。
一方、処理装置は、適正処理を進める処理業者だけでなく、処理
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