2019年11月2日土曜日

後手に回る温暖化対策

温暖化対策5年後でいいのか?

地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」が2020年に始動する。20年からの
各国の温室効果ガス削減の実際的な取り組みを検証、5年ごとに各国が削減目標を
引き上げていくことを求められている。今年12月にはチリで第25回気候変動枠組
み条約締結国会議(COP25)が開催され、協定を運用していくための実施ルールが整
う見込みだと言う。「パリ協定」始動前に、意義や仕組み、ビジネスチャンスを追
ってみた。

●パリ協定とは
先進国のみが削減義務を担った「京都議定書」とは異なり先進国、途上国の境なく
共に削減目標を決めて対策を実施するのが「パリ協定」だ。世界187カ国・地域が批
准している。「パリ協定」では批准各国がそれぞれ二酸化炭素等の温室効果ガスの
削減目標を定め対策を講じる。温暖化による気候変動や海面上昇防止のため、具体的な
気温上昇幅を産業革命前(18世紀)から「2℃は下げて、1.5℃には抑える努力」を 目
標としている。
しかし現実はシビアだ。国連環境計画によると、現状の削減目標をクリアしても、革命
前から今世紀末までの気温上昇は約3℃に達してしまうのだ。今世紀末までに2℃未満
に抑える目標を実現するには削減目標を現在の約3倍に強化する必要あり。そこで、重
要になってくるのが各国の削減目標を検証しつつ目標を引き上げていくのが「パリ協定」
の仕組みだ。20年からの各国の努力が十分かどうかは別問題として、原 則として23年に「パリ協定」の下で検証される。それを踏まえて25年に積み上げた目標 を定め、対策を強化することが求められている。
この「パリ協定」では目標達成不可でも罰則規定はない。おそらく温暖化対策の実効性に
ついては疑問だ。気候変動は待ってナシだ。

●人類存亡の危機

これまで人類が体験しなかった想定外の気候変動による人類存亡危機を迎えている。深刻
だ。「21世紀は環境の世紀」を改めて考える時期に来ているのだ。軍事力による空、海、陸 の線引きしている場合ではない。人類存亡に関わる気候変動が着々に広がっている。その前 にこれまでの気候変動・温暖化対策の経過を追ってみる。

1992年 初の国際的な温暖化防止の「国連気候変動枠組み条約」

1997年 京都議定書採択

2001年 米ブッシュ大統領が京都議定書から離脱表明

2005年 京都議定書発効。その後、米国が温暖化対策の取り組みに復帰。

2013~14年 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書「人間活動が

     温暖化の原因」と断定。

2015年 パリ協定採択。米国が積極的に意見出す。

2016年 米中等が批准、パリ協定発効。パリ協定からの離脱を訴えたトランプが米大統領に。

2017年 米トランプ大統領、パリ協定から離脱表明。

2018年 IPCC特別報告書で「気温上昇1.5℃に抑えるには2050年前後に二酸化炭素排出量 ゼロに必要がある」と指摘。

2020年 パリ協定始動。

すでに地球規模の気候変動・温暖化の影響はジワリと迫っている。フランスでは今夏、観測史上 最高の45.9℃の熱波記録に見舞われた。米海洋大気局(NOAA)では7月の世界の平均気温16.7℃と観測史上最も暑い月だと発表。「温暖化の影響」と指摘。日本国内でも記憶に新しい台風15、 19号等の大災害が相次いだ。気候変動・温暖化が進めばこうした災害は増大すると懸念されている。

●各国の取り組みバラバラ
パリ協定を主導するのが米国と中国だ。環境省の「世界のエネルギー起源の二酸化炭素排出量(2016 年)によると、中国28.2%、米国15.00%と上位1、2位の国だ。その後トランプ大統領になってから パリ協定から離脱。米国内の温暖化対策は急速に後退している。一方、中国も米国の取り組み鈍化に よって温暖化対策の勢いは明らかに衰えているのだ。EUはこの2国とは別に気候変動・温暖化対策に は積極的で強化している。ちなみにトランプに追従する安部日本政府は二酸化炭素を多く排出する石 炭火力所の新設を容認。世界の一部では「パリ協定」の空中分解を懸念されている。各国での取り組 はバラバラで後退している。

そのバラバラさ加減は、例えれば、メタボリックシンドロームのおデブちゃん(先進国)が贅沢三昧して きた食生活を体系スリムな人ら(途上国)に勝手に贅沢は止めろと言ってるようなところが多々ある。簡 単に言えばトンカツ、ビフテキ三昧のおデブちゃんが身体に良く無いから、スリムな人に「ヒエやアワを食え!お茶漬け食え!」と言っているようなものに聞こえる。スリムな人にしてみれば「俺たちだっ て肉食いたいし。何言っているんだ、このデブ!」と、こうなる。

●ビジネスチャンスあるのか?
温暖化対策のビジネスについて、またぞろマスコミを賑わしそうだが、日本の場合は一概には言えない。
我が国は、エネルギー資源の約95%(大半は化石燃料)は海外に依存している。武力でエネルギー資源を 海外に求めて来たのは周知の事実である。
海外に依存せずに純国産エネルギーを創出するのが我が国の国益であり命題だ。
国土の3分の1を占める森林資源(世界3位)、四方を海に囲まれた自然資本を有効利用を考えれば、自ずと 温暖化対策の道筋は見えてくるのだ。言ってみれば「再生可能エネルギー」を軸とした産業・事業・ビジ ネスを考える時期に来ているのだ。それらの広がりが地球規模の温暖化に寄与する。化石燃料、原発等を 軸としない、エネルギー産業・事業の構築が求められている。エネルギー資源に限らず、地産地消の資源創出 がプライオリティを考えたいものだ。

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