街角で目が覚める夜—1977年2月、新宿プチ・モンドの小さな談話(1976〜1977年)
1977年2月10日、新宿の喫茶「プチ・モンド」で交わされた若者たちの政治談話は、ロッキード事件後の政治不信の只中で「一票の重み」を語り直す場となった。田中角栄の逮捕(1976年)により政界の腐敗が露呈し、「政治は遠い」「誰を信じても同じ」という諦めが社会を覆っていた。だがこの小さな場では、政治を自分の手元に取り戻そうとする静かな覚醒があった。参加者たちは「秩序の中にいる者が動くことで社会は変わる」と語り、棄権の誇りを手放して現実への関与を誓う。背景には第一次オイルショック後の不況と物価高、暮らしの疲弊があり、人々は華やかな理想より"等身大の安定"を求めていた。1976年総選挙で新自由クラブが登場するなど政治の多様化も始まり、時代は変わりつつあった。プチ・モンドでの語らい
は、政治を遠い劇場から「生活の机」に戻す、市民意識の小さな夜明けだった。
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