「循環型社会」をキーワードに、企業の工場などで「ゼロ・エミッション」化に向けた動きがもっかのテーマとなっている。
環境側面はもとより、廃棄物処理コストの削減、企業イメージの向上、あるいは廃棄物を別の産業の原料とすることによる再資源物としての売却益などに密接に結びついていることが大きな要因だ。
このゼロ・エミッション化推進の流れの中で、どこにどのような廃棄物がどれだけ存在するかを把握して必要としている企業に紹介し、他の企業が原料として利用する企業間ネットワーク、いわゆるクラスターの形成をサポートするビジネスが注目を集めている。
株式会社昇和興行は関東地区を中心に産廃リサイクルを手掛け、このほどネット上に廃棄物交換のコーナーも開設した。
代表取締役・斉藤純一郎さんに話を聞いた。
●原料としての再利用を仲介・斡旋。
斉藤さんが廃棄物ビジネスに関わり始めたのは90年。
25歳の時だ。
大手電機メーカーでSEとして勤務していたが、知人の紹介などをきっかけにこの業界に飛び込んだ。
昇和興業の会社設立は93年。
それまで首都圏の大手化学会社などをクライアン村に産業廃棄物の収集・運搬、最終処分業務を手掛けていた。
栃木県那須塩原に最終処分場も保有。
だが、2年ほどでそこが一杯となり、新たな処分場を建設しようとしたところ「NIMBY」の問題に直面して挫折した。
「最終処分場を保有してというプラスアルファなしに、収棠・運搬というサービスだけでは生き残りは難しい」と考えた斉藤さんは、事業の軸足をリサイクルに転換。
新会社を設立して、再資源化を目的とした廃棄物の仲介・斡旋事業を開始した。
各企業から廃棄物の情報を提供してもらう一方、再利用が可能な企業情報を収棠、仲介料を受け取るほか、適切なリサイクルルートづくり、再資源化物の販売などを手掛ける。
もちろんそのまま仲介するだけでなく、どうしたら再利用できるか、用途開発の部分も含めアドバイスしていく。
再資源化は関連会社、提携会社へ委託。
また収集運搬も引き続き行なっており、対象となる廃棄物の収集運搬を請け負うことでの収益も得る。
関東の1都6県の収集運搬許可を持つ。
当初は最終処分事業を行なっていた頃のつてなどでクライアント、リサイクルルートを開拓。
現在、廃棄物の提供、再利用する企業は20数社。
1社で廃棄物の提供、再利用をしているところもあるという。
これまでの交換、再利用実績は廃硫酸、廃塩酸、廃苛性、ソーダ、廃アルミンソーダ、廃リン酸、廃過酸化水素、廃硫酸、副生リン酸'ノーダ、副生ほう酸、副生硫酸ソーダ、廃酢酸、廃酢酸エチル、廃酢酸プチル、廃IPA、廃メタノール、副生メタノール、廃カーボン、廃メタルシリコン、廃シリカ、廃油、廃ポリエチレン、廃塩ビ、廃フレコンなど。
例えば廃硫酸や廃苛性ソーダは凝集剤や中和剤に、廃酸エチル・廃酸ブチル、廃IPAなどは再生溶剤に、廃メタルシリコンは太陽電池や合金の原料として再利用されている。
また有機汚泥、活性汚泥の余剰汚泥や廃珪藻土、廃活性炭などは土壌改良材の製造・販売を手掛ける関連会社のエスケーコンポスト(栃木県那須塩原)、菊池産業(栃木県那須塩原)にて原料として再利用。
各種廃プラはアースイング(岐阜県)にて塩ビ複合材であれば溶剤分離作業をして再利用、PP、PE、ABSなど単ー素材であれば破砕、リペレット化し建材材料や海外輸出するなどしている。
●商談成立までに1年以上かかることも。
同社の手掛けるような廃棄物仲介・斡旋事業で最も難しいのは引き取り条件の調整だという。
「量やスペック、需給のタイミングなどなかなかかみ合わない部分も多い。
提供側は300トン出したいのに、はめ込み先が100トンしか決まらない、あるいは提供先で一定の精製がされているのか、そうでないのかなど。
提供側と再利用先の両方を探し、マッチングしなければならないので、事業として成り立つのに結構時間がかかることもあります。
むしろ、すんなりいくことのほうが少ないでしょうね」原材料や購入品などを調べて再資源化物の利用を売り込んでいくわけだが、バージン材料ではないから、なにか不純物が入っていないかなど使う側としては抵抗感がある。
グリーン調達の取り組みが進み始めているとはいえ、やはり面倒だという意識が先に立つようだ。
「コストダウンにつながるといったことも強調しながら、意識を変えていくところから始めます。
実際、提供側、再利用先ともにほとんどのケースでコストメリットがあります。
提供側の中には、コストメリットよりも再資源化を取る場合もありますが、利用する側ではコストメリットがなければ絶対に話に乗ってもらえない」ようやく使えそうだというところで、さらに成分分析をし、実験的な導入、そして本格的な利用となる。
バージン材の販売とは違った、再資源化製品ならではの難しさといえるだろう。
当然、商談成立までは時間がかかろうというもの。
1年以上かかることもあるとのこと。
●「廃棄物交換」サイト開設で情報収集を拡大。
この事業では再資源化のノウハウ、実績とともに、情報をいかに集めるかが、事業拡大に向けた鍵となる。
だが、まだまだ会社の規模も小さいだけに集まる情報に偏りがある。
そこで、6月、ネット上に「廃棄物交換」のサイトを立ち上げた。
廃棄物の引き取りを希望する企業と、再生原料として引き取りたい企業が、同社のホームページに種類、最、性状、発生工程、場所などを登録。
登録品目は廃硫酸や廃アルカリ、廃メタノールなどの化学薬品、汚泥、木くず、廃プラ、はたまた中古廃棄物処理設備までさまざま
需給の適合したものを同社が斡旋し、すり合わせていくという仕組み。
すでに地方自治体や商工会議所などで広報誌を使った同様のシステムを構築しているところもある。
しかしながら、情報の掲載のみで、あとは当事者同士でのやり取りとなるため、引き取り条件などがあわず、実際の動きにはつながりにくくなっている。
「やはり、それぞれの希望をすり合わせていく仲介役は必要でしょうね。
またインターネットは最新の情報効果ができるのもいいですね」当面、仲介・斡旋サービスは関東地区が中心となるが、廃棄物交換サイト立ち上げを機に、将来的には全国の産廃処理業者とネットワークしての全国展開も図っていきたい考え。
現在の廃棄物削減、再資源化に向けた各社の力の入れようを考えれば、こうしたポジションは必要不可欠。
従来の産業廃棄物処理業者もリサイクル色を強めており、また新規参入も今後増えてきそうだ。
その前にいち早く実績を積み、情報収集システムの構築により囲い込みを狙う。
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