Wednesday, March 11, 2026

法律制定の背景と目的。

法律制定の背景と目的。


戦前から、「別子銅山煙害事件」や「浅野セメント降灰事件」などの大気汚染問題が顕在化してきました。
戦後の高度成長期における都市部への人口集中や石油コンビナートの形成などが、この問題を一気に加速させました。
1960年頃からは、三重県の四日市で石油コンビナートからの硫黄酸化物による呼吸器系疾患が多発し、社会問題化しました。
これに対処するため、「公害対策基本法」が1967年に制定され、それに基づいて1968年に「大気汚染防止法」が制定されました。
この法律は、事業活動や建築物の解体に伴う排煙、粉じん、有害大気汚染物質を規制し、自動車の排気ガスの排出量を制限することで、国民の健康を保護し、生活環境を維持することを目的としています。
また、健康被害が生じた場合には、「公害健康被害の補償等に関する法律」(1973年施行)に基づいて被害者を救済する賠償責任も規定されています。
この法律は、その後も何度か改正されており、直近では1996年5月にテトラクロロエチレンが指定されました。
さらに、建物の解体や補修作業からの特定粉じんも規制対象とされ、排ガス規制にはバイクも追加されました。
また、1997年8月にはダイオキシン類も指定物質として追加されました。


規制対象。


ばい煙発生施設。

a. 燃焼に伴い発生する硫黄酸化物(SOx)。

b. 燃焼あるいは電力使用に伴い発生するばいじん(すす)。

c. 燃焼・合成・分解に伴い発生する有害物質(カドミウム及びその化合物、塩素及び塩化水素、フッ素・フッ化水素及びその化合物、鉛及びその化合物、窒素酸化物)を発生する固定施設。

一般粉じん発生施設。

破砕、選別、その他の機械処理、堆積に伴い「粉じん(セメント粉、石炭粉、鉄粉など)」を発生させる施設。
セメント、土石、鉱石、コークスなどの堆積場、ベルトコンベア、破砕機、ふるい機などが政令で定められています。

特定粉じん発生施設。

粉じんの中でも、発ガン性の高い「石綿(アスベスト)」を発生させる施設。
切断機、破砕機などが政令で定められています。

特定粉じん排出等の作業。

「特定粉じん」が使用されている建築物の解体、改造、修理工事。

指定物質排出施設。

指定された有害大気汚染物質(ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ダイオキシン)を排出または飛散させる施設。
一定規模以上の乾燥施設、蒸留施設、混合施設、洗浄施設、ドライクリーニング機、電気炉、廃棄物焼却炉などが指定されています。

特定施設(多量に排出したときのみ規制)。

アンモニアやフッ化水素、シアン化水素、一酸化炭素など健康被害を生じる恐れのある特定物質(28種)を多量に排出したときのみ、事故時の措置命令が適用されます。
そのため、普段は政令により施設特定されていません。

自動車排出ガス。

自動車、バイクの排出ガスに含まれる一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)の許容限度が設定されています。

排出基準。


ばい煙については、SOx、ばいじん、有害物質ごとに異なる基準が設定されています。
SOxについては排出口の高さに応じた基準があり、政令で地域ごとに設定されているK値(3.0から17.5)と排出口の高さによって算出されます。
ばいじんと有害物質には施設の種類や規模に応じた基準が設けられています。
ばい煙に関しては、「一般排出基準」のほかに「特別排出基準」や「上乗せ基準」、さらに「総量規制」があります。
粉じんに関しては、特定粉じん発生施設には敷地境界基準が適用され、一般粉じんには全国一律基準が定められています。
特定粉じん排出等の作業についても作業基準が設けられています。
指定物質排出施設には、指定物質抑制基準が定められています。


法適用事業者の責務。


基準遵守以外の義務としては、ばい煙発生施設、一般粉じん発生施設、特定粉じん発生施設の場合は、施設設置や施設の構造を変更する際には、事前に都道府県への届出が必要です。
測定及び記録も義務付けられています。
また、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律に基づき、公害防止組織の選任と都道府県への届け出が必要です。
特定粉じん排出等の作業についても、都道府県への届け出が必要です。
指定物質排出施設については、自主管理が促進されています。
罰則に関しては、ばい煙の排出基準違反及び総量規制排出基準違反には罰金などの直接的な罰則が課せられますが、その他の場合は勧告や命令にとどまります。

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