Monday, March 16, 2026

「ビオトープ、エコロード、エコシティなど、自然との共生をテーマにした環境づくりが注目を集めている。

「ビオトープ、エコロード、エコシティなど、自然との共生をテーマにした環境づくりが注目を集めている。
株式会社環境指標生物は、こうした環境づくりに必要な地域の植生や生態系の実態調査やプランニング、環境アセスメントなどを業務の中心とする専門家集団である。
設立10年、社員の平均年齢27歳という比較的若い組織ながら、数多くの実績を積み、高い評価を受けている。
同社の新里達也社長から環境共生型事業の現状について話を聞いた。
建設省の環境共生型事業に実力を発揮してきた新里社長は、子供の頃から昆虫好きの少年で、大学・大学院でも昆虫学を専攻してきた。
卒業後は造園設計事務所に7年間勤務し、環境アセスメントを担当していた。
造園会社というのは庭園づくりが発想の基本で、整然と樹木を植えたり、見た目の美しさを重視する。
当時の環境アセスメントにおいては、こうした発想が主流で、生物学的な植生などに根ざした調査・評価ではなかった。
「昆虫の標本採集や実態調査を通じて、従来までの開発を続けていけば必ず生態系に破綻が来ることは肌で感じていました。
実際の環境アセスメントを見るうちに、これからは生物学的なアセスメントが求められる時代が必ず来るはずだ、環境コンサルティングで食える、と確信した」
こうして有限会社環境指標生物を設立したのは1987年、新里社長が29歳のときだった。
同じく企業や研究機関で調査活動を行っていた仲間3人とのスタートだった。
当初の業務の中心は、道路、ダム、広域住宅などの公共事業や、民間のゴルフ場やリゾート建設の環境アセスメントだった。
会社設立当時はバブルの真最中だったため、望んだ仕事ばかりができたわけではなかった。
しかし、地道に実績を重ねるうちに、時代の流れが変わってきた。
「リオの地球サミットとバブルの崩壊で、地域開発を取り巻く状況は大きく変わった。
地球サミットでは、アジェンダ21を国がどこまで具体化するものか、と疑問視していたところもあったが、現状は私の予想を超えて急激に進展していると思う」
具体的には建設省が進めている、ふるさとの川、エコロード、エコシティなどの各事業が、地球サミットの流れを受けてのものといえる。
同社でもこうした事業の調査・プランニングを請け負っている。
地域の生態系の把握にはじまり、植える植物の種類や量、川床の変化のつけ方、小動物の棲みかづくりなどに、同社のノウハウや専門知識がフルに活かされている。
「建設省は風呂敷を広げたが具体的なアイデアはないという状態。
我々の方からどんどんアイデアを提案していく姿勢でやっている。
ずっと土木一筋で来た人には、植物を植えるといえば「街路樹でいい」となりがちな面はたしかにある。
しかし時流は明らかに生態系を重視する方向に向かっており、役人も勉強せざるを得ない。
昔に比べると随分やりやすくなってきている」
環境アセスの法制化も追い風になる。
来年度に予想される環境アセスメントの法制化も、同社にとっては追い風となる。
「従来の環境アセスメントは評価の基準にあいまいなところがあり、環境保護団体などから「アセスメントは合わせメント」と批判されるケースもあった。
法制化によってNGOや市民との対話の場が生まれ、こうした点が是正されていくでしょう。
法制化ですぐには急激な変化はないと思うが、変化へのステップとして意味は大きいと思います」
現在のところ、開発にあたっての影響評価やビオトープなどの環境共生空間の創造が同社の主な事業である。
新里社長は、今後はこれに加えて、今ある自然環境をどう維持保全していくかというマーケットも出現すると予想する。
具体的には、自然環境を定量的に評価できるような基準づくりが必要になってくる。
そうした基準のひとつは、現在環境庁が始めている絶滅寸前の種を集めたレッドデータブックの整備だ。
レッドデータブックの整備は、各地の地方自治体に広がることが予想される。
もうひとつが、生物種の生息状況の把握だ。
現在、イヌワシなどについては比較的知られているが、トンボや植物などについては、どのように分布しているのか正確に把握されていないものも多いという。
「生息状況の把握ができれば、どういう施策で保全していけばいいのかが明らかになり、法や規制を作る際のデータになります。
絶滅してしまう前に、国の事業として対策をなるべく早く立てて実行する必要があります」
10年前に「これからは生物学的見地からの環境コンサルティングが必要になる」と看破した新里社長の出番がいよいよやってきた。

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