Wednesday, June 4, 2025

一条さゆりの逮捕事件――1970年代前半 性と自由の交差点に立つ女

一条さゆりの逮捕事件――1970年代前半 性と自由の交差点に立つ女

1970年代前半、日本社会は高度経済成長のさなかで、性に対する価値観が揺れ動いていた。性表現は次第に大衆文化へと浸透しつつあったが、それを受け止める社会の許容量は決して大きくなかった。ストリッパー・一条さゆりは、その最前線にいた。彼女のステージは美と倒錯が交錯する空間であり、テレビ番組『11PM』で放映された直後、大阪府警に抗議の電話が殺到し、ついには逮捕された。これに対し野坂昭如は、性表現は公開されるほどに異常な好奇心が鎮まるのだと述べた。見たくなければ見なければいいのに、わざわざ見て通報する人々の姿には、むしろ抑圧された社会心理が滲んでいる。この事件は単なる芸能のスキャンダルではない。国家が性をどこまで規制すべきか、そして表現の自由をどのように守るのかを問う�
��戦後日本における重要な試金石だったのである。

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