Monday, June 30, 2025

松山事業所:帝人ファイバーのユニフォーム再生(2006年9月)

松山事業所:帝人ファイバーのユニフォーム再生(2006年9月)

2006年、日本企業は「循環型社会」への対応を本格化させていた。廃棄物の削減や資源の再利用を促す法制度が整い、CSR(企業の社会的責任)の一環として環境配慮が求められるなか、帝人ファイバー(大阪)は先進的なリサイクル事業を展開した。三菱東京UFJ銀行から回収した約5万着の旧制服を、愛媛県松山市の松山事業所でポリエステル原料に再生し、再び資源として活用するというものである。

この取り組みは、製造と回収、再生という工程を一つの流れに統合した循環型モデルであり、リサイクルの新しい形として注目を集めた。松山事業所はその中心拠点として、分解から再資源化までの工程を担い、地域の技術と雇用を支える役割も果たしていた。

当時はまだ、リサイクル活動が「コスト」として扱われがちだったが、帝人のこの試みは、環境価値を付加価値に変えうる先例となった。都市圏と地方が連携し、環境配慮と産業の両立を図ったこの取り組みは、今なおサステナブル経営の好例とされている。制服の再生という一見地味な活動の背後に、時代の要請と企業の挑戦が交差していたのである。

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