Friday, June 6, 2025

地下からの叫び――1980年代初頭、反骨のステージに立つ遠藤ミチロウと「ザ・スターリン」―1980年代前半

地下からの叫び――1980年代初頭、反骨のステージに立つ遠藤ミチロウと「ザ・スターリン」―1980年代前半

1980年代前半、華やかなアイドル全盛の裏側で、遠藤ミチロウ率いる「ザ・スターリン」は過激なライブで異彩を放っていた。鶏肉を投げ、血のりを飛ばし、吐く――それは観客への挑発ではなく、「生きていることを実感するため」の表現だった。東京という消費都市に疎外された者の怒りと悲しみを、彼は肉体ごとぶつけていた。地方出身者としてのコンプレックス、学生運動崩壊後の空白、メディアによる画一化――そうした背景の中で、ミチロウの姿は都市の地下からの"叫び"として際立った存在だった。彼の行為は単なるパフォーマンスではなく、自己と時代への痛切な問いかけであった。明るく無菌的な大衆文化が支配するなかで、「ザ・スターリン」は、汚れ、痛み、暴力をもってしか表現できない感情を抱えた若者�
�ちの代弁者となった。アンダーグラウンドは、そこで生きる術であり、祈りでもあった。

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