Wednesday, June 18, 2025

北海道ガスの天然ガス転換の歴史と現状(1996年~2020年代)

北海道ガスの天然ガス転換の歴史と現状(1996年~2020年代)

1996年:天然ガス転換の開始

1996年5月9日、北海道ガス(北ガス)は札幌市厚別区から都市ガスを天然ガスに転換する作業を開始しました。苫小牧市の勇払ガス田で産出される北海道産の天然ガスを利用し、2006年までに札幌市内約50万戸を対象に転換を完了する計画でした。天然ガスは石油や石炭に比べて二酸化炭素や硫黄酸化物の排出が少なく、クリーンなエネルギー源として注目されました。北ガスはこの計画を通じて、都市全域での環境負荷軽減とエネルギー効率化を目指しました。

2000年代:転換作業の進展と供給基盤の強化

2002年には千歳地区での天然ガス転換が完了。2003年には「札樽幹線」と呼ばれる天然ガスパイプラインが完成し、札幌から小樽までの供給基盤が強化されました。2005年6月10日には札幌市全域での転換作業が完了し、約46万戸が天然ガス供給に切り替わりました。その後、小樽地区(2005年)や函館地区(2006年)でも作業が完了し、主要供給エリアの天然ガス化が実現しました。

2010年代:供給エリアの拡大と新技術の導入

2010年代には、北見地区での転換を進めるために2009年に北見LNGサテライト基地が操業を開始。これにより、北見市でも天然ガス供給が開始されました。また、2012年には石狩湾新港に「石狩LNG基地」が稼働開始。LNG(液化天然ガス)の安定的な輸入と供給が可能となり、地域全体のエネルギー基盤が大幅に強化されました。この基地は、年間200万トンのLNGを取り扱う能力を持ち、北海道内での天然ガス普及の大きな転機となりました。

さらに、2016年からは電力小売事業に参入し、ガス・電気の一体的なエネルギー供給体制を確立。北ガスはエネルギー供給の多角化を進め、家庭向けサービスに加え、事業所や工場向けのエネルギーソリューションを提供しました。

2020年代:カーボンニュートラルへの取り組み

2021年2月、北ガスは三井物産株式会社とカーボンニュートラルLNGの売買契約を締結し、北海道で初めてカーボンニュートラルLNGを導入しました。これにより、天然ガス利用によるCO₂排出量の削減に取り組むとともに、持続可能な社会の実現を目指しました。

また、2023年1月25日には都市ガス供給量が過去最大の4252079立方メートル(45メガジュール換算)を記録。この記録的な供給量は、地域全体の暖房、給湯、融雪需要の増加が背景にあります。

まとめ

北海道ガスの天然ガス転換は、1996年の開始から25年以上にわたり、札幌市をはじめとする地域の持続可能なエネルギー供給に大きく寄与しています。特に2010年代以降の供給基盤の拡大やLNG基地の建設、さらにはカーボンニュートラルLNGの導入など、環境負荷軽減に向けた取り組みは、北海道全域のエネルギー政策において重要な役割を果たしています。

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