Thursday, June 5, 2025

水質汚濁防止法

水質汚濁防止法
水質汚濁防止法は、1970年に制定され、工場や事業所などから公共用水域(河川、湖沼、港湾、潅漑用水路、公共用水路など。公共用下水道、流域下水道は除く)に排出される水の排出、および地下に浸透する汚水を規制し、公共用水や地下水の水質汚濁を防止することを目的とした法律です。この法律は、近年においても改正が行われ、例えば1996年の改正では地下水浄化対策についての項目が追加されました。

適用範囲
水質汚濁防止法の適用範囲は、製造業や鉱業だけでなく、畜産業や旅館業など幅広い業種にわたります。具体的には、次のような事業場が対象となります。

公共用水域に排出される排水を出す事業場
有害物質を製造・使用・処理する特定施設から汚水などを地下に浸透させる事業場
特定施設を設置する事業場から汚水を含む廃液を排出する事業場
排水基準
排水基準は大きく「有害物質に関する基準」と「生活環境項目に関する基準」の2つに分かれます。

有害物質に関する基準

有害物質に関する基準は、排水規模に関わらずすべての事業場に適用されます。具体的な基準値は次の通りです。

カドミウム及びその化合物: 0.1mg/L
シアン化合物: 1mg/L
有機リン化合物: 1mg/L

生活環境項目に関する基準
生活環境項目に関する基準は、1日平均排水量が50立方メートル以上の事業場に適用されます。具体的には次の通りです。

水素イオン濃度: 5.8以上8.6以下(海域では5.0以上9.0以下)
生物化学的酸素要求量: 160mg/L(日間平均120mg/L)
化学的酸素要求量: 160mg/L(日間平均120mg/L)

罰則規定
排出基準違反については直ちに罰則が適用されます。総量規制違反や地下浸透禁止違反については、改善命令を経て改正されなかった場合に罰則が適用されます。また、有害物質の排出や地下への浸透によって人の生命や健康を害した場合、業者は無過失責任を負い、損害賠償の責任を負います。

事故時の措置
施設の破損や事故が発生し、有害物質または油を含む水が公共用水域に排出、あるいは地下に浸透した場合、応急措置を講じるとともに都道府県に届け出る必要があります。油とは、原油、潤滑油、軽油、灯油、揮発油、動植物油を指します。

汚染地下水の浄化命令
特定事業場からの有害物質が地下に浸透し、人の健康に被害が生じる恐れがある場合、知事は特定事業者に対して地下水の浄化を命じることができます。浄化レベルは水質環境基準に基づきます。ただし、1996年6月15日以前に特定施設の設置を許可された場合には遡及性はなく、浄化義務は生じません。

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