海と陸をつなぐ貝殻の声（2008年12月）

海と陸をつなぐ貝殻の声（2008年12月）
北海道八雲町で捨てられた殻が洗剤に生まれ変わるとき

北海道八雲町の北栄が、ホタテ貝殻を高熱処理して作る水酸化カルシウムと酵素を組み合わせた洗剤「クリホーグ」を開発し、地域資源循環と環境負荷低減を両立する新市場を切りひらいた。貝殻は漁業地域で大量に廃棄される副産物であり、その再利用はごみ処理費削減と悪臭対策に直結する。泡立ちが少なく一度のすすぎで済む特性は水使用量の削減につながり、肌荒れ改善の声も寄せられた。化石由来界面活性剤への依存低減という環境的意義に加え、地域雇用と付加価値創出という経済的課題にも応えた点が重要である。2008年当時は循環型社会形成推進基本法や廃棄物処理法改正といった潮流のなかで、天然素材の生活用品市場が拡大していた時期に当たり、本技術はその波を的確に捉えた事例として評価できる。