「環境マネジメントシステム(EMS)規格」

「環境マネジメントシステム(EMS)規格」

ISO14001認証取得サイトへの支援ビジネスが拡大する兆し。現在、日本におけるISO14001の認証取得サイトは5500を突破、さらに毎月約200サイトが認証を得ている。取得が花盛りの一方、多くのサイトで取得後、具体的に何をどうしたら良いのか分からなかったり、認証したメリットを見出せずに困っているのが実情。中には「認証を返上したい」という声もちらほら。そうした認証取得サイトへのケアを行うコンサルティングの件数が次第に増えている。

背景としてEMS構築に際し、ISO14001の認証取得、審査登録を目的とした仕組みが先行し、具体的な運用の配慮が欠如しているからだと思われる。支援コンサルの中には、いってみれば「ドキュメント屋」「マニュアル屋」も多く、事務的・機械的に仕組みだけをこなし、認証後の環境負荷改善の方法を示唆することなく、相変わらずサイト内の公害対策の域を脱しないケースが多い。コンサルを受ける側も認証取得のマニュアルづくりに注力し、結果、せっかく構築・導入したEMSの中身がなくてP.D.C.Aが動かない。環境方針も似たり寄ったりで、サイト名を伏せてしまうとどこのサイトなのか見分けがつかなかったりする。

過日、認証取得サイトの担当者からサイト内で出る木くずの適正処理について相談を受けた。彼によると、従来はその廃棄物を焼却炉で燃やしていたが、これからは目標に掲げたリサイクル率に沿って改善していかなくてはならない。だが、その方法がわからない。焼却して熱回収する方法もあれば、MDFにすることも考えられるし、炭化も可能。リサイクルの選択肢はさらにあり、環境効率なども考慮するといったいどうすれば良いのか分からないという。そしてこれから継続的にEMSを運用していくに当たり、従業員教育の遅れも指摘していた。ISO14001認証取得サイトで具体的な課題が顕在化しつつある。こうした取得サイトのケアがビジネスとして成立する。