Friday, December 27, 2024

FRP廃船の不法投棄問題 - 日���全国 - 2004年から2020年代の歴史���現状

FRP廃船の不法投棄問題 - 日本全国 - 2004年から2020年代の歴史と現状

FRP(繊維強化プラスチック)製プレジャーボートは、耐久性と軽量性から普及しましたが、その廃棄処理が課題となっています。2004年時点では、年間約5000隻が廃棄され、そのうち約1000隻が沿岸部や河川敷で不法投棄されていました。不法投棄は環境への深刻な影響を及ぼし、海洋生態系の悪化や景観破壊が問題視されました。

これに対し、国土交通省はFRP廃船のリサイクル推進に向けた制度設計を開始。廃船の解体・粉砕技術の向上や専用リサイクル施設の整備が進められました。また、自治体と連携した不法投棄防止キャンペーンが展開され、船舶所有者にリサイクル費用の一部負担を求める仕組みも検討されました。しかし、リサイクル事業の採算性確保が課題であり、廃FRPの建材や燃料としての再利用技術の開発が進む一方、広範な導入には時間を要しました。

2010年代には、FRP廃船問題の解決に向けた動きがさらに活発化しました。2015年には「全国FRP廃船リサイクル推進協議会」が設立され、業界全体での取り組みが進みました。具体的には、使用済みFRPの粉砕技術が大幅に改善され、リサイクル材として道路舗装や建設資材に利用される事例が増加しました。また、政府は廃船処理の補助金を1件あたり最大50万円に拡充し、自治体と連携したモデルプロジェクトを展開。その結果、2018年時点でFRP廃船の適切処理率は65%に達しましたが、依然として約35%(年間約1750隻)が未処理または不法投棄されている状況でした。

2020年代に入ると、年間約6000隻が廃棄される中、約800隻が適切に処理されないまま不法投棄されているとの報告があります。これを受けて、国土交通省は全国で10カ所以上の専用解体施設を新設し、年間2000隻以上の廃船を処理可能な体制を整備しました。さらに、三菱ケミカルや住友化学などの企業が化学リサイクル技術を開発し、廃FRPを建材や燃料として再利用する取り組みが進められています。

また、瀬戸内海沿岸の自治体では、2020年に「瀬戸内海廃船管理条例」を施行し、所有者への通知義務化やペナルティの導入を実施。これにより、廃船の放置が年間10%以上減少しました。一方で、処理コストが平均1隻あたり20万円以上かかる点が引き続き課題です。

国際的にも、韓国やフィリピンなどの近隣諸国と廃船リサイクル技術の共有が進められています。FRP廃船問題は、海洋プラスチック削減の一環として位置づけられ、海洋環境保護のための重要な課題となっています。技術革新や制度強化により一定の改善が見られるものの、コスト削減や所有者意識の向上が求められる状況は変わりません。

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