### 日本におけるごみ焼却依存からの脱却の歴史と現状 - 1997年11月から2020年代まで
#### 1997年の課題と取り組みの始まり
日本では、1997年の時点で廃棄物処理の焼却依存が顕著であり、焼却施設の数や処理量が欧米諸国と比較して圧倒的に多い状況でした。特に、焼却に伴うダイオキシン排出や焼却灰の処理が大きな課題とされていました。これに対し、分別収集の徹底や再資源化、リサイクルへの転換が求められました。また、廃棄物処理法の改正を進め、焼却に頼らない持続可能な廃棄物処理システムの構築が政府の目標となりました。
#### 2000年代の展開
2000年代には、ダイオキシン削減のための基準強化や、焼却炉の新設に厳しい規制が導入されました。また、地域ごとのリサイクル拠点の整備や企業による廃棄物のリサイクル推進も進展しました。これにより、日本国内では焼却処理量が徐々に減少しつつありましたが、依然として焼却依存は高いままでした。
#### 2010年代の進展
2010年代には、環境省主導で循環型社会形成推進基本計画が策定され、廃棄物の3R(リデュース、リユース、リサイクル)の促進が本格化しました。特にプラスチックごみの削減に向けて、2018年には「プラスチック資源循環戦略」が公表され、再資源化や削減目標が明確化されました。この取り組みの一環として、スーパーやコンビニではプラスチック製買い物袋の有料化が進み、企業や自治体での脱プラスチック施策が広がりました。
一方で、震災廃棄物の処理も2010年代の重要な課題でした。2011年の東日本大震災後、宮城県や福島県では、瓦礫の処理や放射性物質を含む廃棄物の適切な管理が求められました。この中で、広域処理や仮置き場の設置が進められましたが、住民の理解を得ることが課題となりました。
#### 2020年代の現状
2020年代において、日本の年間ごみ排出量は約4167万トン、一人一日あたり約901グラムと高い水準にあります。このうち、焼却処理が主流であり、廃棄物処理システムの転換が引き続き課題です。ダイオキシン類の排出量は1997年の約2000g-TEQ/年から2020年には98~100g-TEQ/年まで大幅に減少しましたが、さらなる削減が求められています。
また、プラスチックごみの削減も重要な課題です。環境省の調査によれば、2050年には海洋中のプラスチックごみの量が魚の量を上回る可能性が指摘されています。これを受け、三菱重工業などの企業が廃プラスチック油化事業を推進していますが、コストや生成油の用途開発が依然として課題となっています。
地域では、東京都八丈町がデポジット制度を導入予定ですが、運用コストや住民協力の確保が鍵とされています。政府は廃棄物処理法の改正を継続し、資源循環型社会の構築を目指して取り組みを進めています。
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日本は1997年からの焼却依存への対応を経て、2010年代の循環型社会形成推進や震災廃棄物の管理、そして2020年代の脱プラスチック社会への転換を目指し、地域や企業と連携して課題解決に取り組み続けています。
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