Sunday, September 28, 2025

夜更けの体温と新宿の輪郭 1970年代のジャズという居場所―1970年代

夜更けの体温と新宿の輪郭 1970年代のジャズという居場所―1970年代

一九六〇年代半ばに誕生した新宿ピットインはモダンからアヴァンギャルドまでを吸収する拠点となり七〇年代の新宿を音楽と人の交錯する実験場へと変えていった。ステージを最優先にしたその空間はのちに東京のヴィレッジバンガードと呼ばれ演奏の余韻が会話を揺らす独特の磁場を形成した。同時期全国に広がったジャズ喫茶はレコード再生を中心に集中して聴く文化を築き一方で酒とともに生演奏を楽しむライブハウスが育った。新宿の夜はこの二つが重なり合い都市の文化的厚みを生み出していた。記事中に見えるボディオソウルの表記は揺れの可能性があり実際には一九七四年創業のボディアンドソウルなど都内各所でジャズと酒を結ぶ店が存在した。背景には職安通り周辺に形成された在日コミュニティや多文化の往来
があり都市の変化とともにジャズが鳴り響いていた。さらに副都心化と地下連絡通路の整備が進む七〇年代半ばの新宿は人流が膨張し夜の回遊性が高まった。こうした都市の膨張と多層性を映す場として新宿のジャズ文化は七〇年代の都市感情をそのまま体現していた。

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