Tuesday, September 30, 2025

未来をほどく土に還る器―生分解性プラスチックの挑戦・1995年

未来をほどく土に還る器―生分解性プラスチックの挑戦・1995年
1995年の日本は、バブル崩壊後の不況と廃棄物問題が重なる中で、循環型社会への転換が課題となっていた。同年には容器包装リサイクル法が制定され、使い捨て文化を見直す動きが始まった。こうした背景のもと注目されたのが、生分解性プラスチックである。微生物の働きにより最終的に水と二酸化炭素へ還元される素材で、レジ袋や食品容器など短期使用製品への活用が期待された。しかし当時は価格が従来プラスチックの数倍と高く、耐久性や成形性にも課題が残っていた。そこで官民連携の研究開発が進められ、デンプン系やポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、さらに微生物が合成するPHAといった多様な素材が試みられた。PLAは成形性に優れる一方で耐熱性が弱く、結晶化やブレンド技術で改良が進められた。PHA�
�土壌や海水での分解性が注目され、将来の本格利用を見据えた研究が続いた。また欧州ではEN13432、米国ではASTM D6400といった国際規格が整備され、コンポスト条件下での分解基準が明確化。日本もこうした動きに追随し、年間三百万トン規模の需要が予測された。海洋分解の遅さという課題は残るが、素材開発と制度整備の両面で、環境技術としての萌芽が形を成した。

No comments:

Post a Comment