Tuesday, September 30, 2025

廃炭の庭に響く水の記憶―大阪府河内長野市と長野県戸倉町・1995年9月

廃炭の庭に響く水の記憶―大阪府河内長野市と長野県戸倉町・1995年9月
1995年、日本はバブル崩壊後の不況期にありながら、環境意識の高まりを背景に、地域独自の水質改善の試みが進められていた。大阪府河内長野市の天野カントリークラブでは、敷地内で炭焼きを行い、自家製木炭を池や水路に沈めて有害物質を吸着し、農薬残留を抑制した。また木酢液を害虫防除に、炭灰を土壌改良に活用し、ゴルフ場が環境負荷を軽減する象徴的な取り組みとして注目された。一方、長野県戸倉町では農業用水に木炭を導入し、生活排水や農薬による汚染を緩和。その結果、姿を消していたゲンジボタルが再び確認され、住民に環境再生の希望を与えた。木炭は繰り返し利用でき、劣化後は土壌改良材として再活用される循環型の技術であった。当時、林野庁や環境庁は間伐材や未利用材の新用途開発を推進して�
�り、この取り組みはその流れを先取りするものであった。木炭の吸着作用や木酢液利用、ホタルを指標とした水質改善は、90年代半ばの日本が直面した廃棄物や水質悪化問題への具体的解答を提示した事例であり、「廃材を水の守護者に変える」挑戦の象徴として記憶された。

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