Tuesday, September 30, 2025

夢を紡ぐ廃棄物産業の声―1995年9月

夢を紡ぐ廃棄物産業の声―1995年9月

1995年、日本経済はバブル崩壊後の不況に直面しつつも、都市の下水道普及率が五割を超え、環境規制が強化されていった。ゴミ分別やリサイクルの意識が芽生えるなか、廃棄物処理業界は社会の裏方から「環境産業」として注目を浴び始めていた。その時代背景のもとで登場したのが、日建総業の開発事業部部長・城木孝照である。

彼は同社がし尿処理から事業を拡大し、米軍施設や自衛隊、さらに高度成長期の都市下水道整備に応じて成長してきた歩みを振り返る。そして「廃棄物処理は需要が確実にある安定産業だが、ただ仕事をこなすだけでは不十分。会社全体のレベルアップが不可欠だ」と語った。その言葉には、業界を単なる請負業から社会的使命を担う産業へと高めようとする気概が込められていた。

また、城木は「社員が夢を持てる会社」をモットーとし、若手社員の意見交換会や外部講師を招いた研修を積極的に実施した。不況下でも意欲ある人材を獲得し、さらに日系ブラジル人の雇用によって現場の労働力不足を補う工夫を行っていた。こうした取り組みは、単なる処理業務を超え、社員教育と社会的責任を重ね合わせた先進的な姿勢を映し出している。

城木の言葉は、環境ビジネスが"安定産業"から"成長産業"へと変わりつつあった1990年代半ばの空気を鮮やかに伝える証言である。

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