緑の穴を刻む郷土の詩―大阪府河内長野市・1990年代
大阪府河内長野市の丘陵地に、天野山カントリークラブという名の風景があった。都市近郊でありながら原生林の緑を残すこのゴルフ場は、その自然性ゆえに環境の矛盾とも向き合っていた。バブル崩壊後の1990年代、日本では環境意識がじわじわと生活の隅々に浸透し、ゴルフ場の農薬汚染や水質悪化が批判の的となっていた。そんな時代背景の中で、このクラブは独自の環境修復法を試みた。
まず敷地内に炭焼き小屋を設け、伐採枝や剪定材を燃やして木炭を自家生産する。生成された木炭を池や水路に沈め、水中の農薬残留物を吸着・除去する。その結果、かつて消えたゲンジボタルが夜を舞う情景が戻ったと伝えられた。加えて、炭焼き過程から得られる木酢液を害虫防除に使い、炭灰を粉末化して芝生や土壌に散布することで土質改良にもつなげた。こうして、ゴルフ場運営と環境保全とを融合させた姿がそこにあった。
この手法には、古来からの炭・吸着・微生物浄化という地道な技術が息づいていた。活性炭による水処理技術は、炭を素材とする古くて新しい技術として現在も研究が続いている。また、ゴルフ場環境マネジメントのガイドラインには「場内に木炭・砂ろ過を用いる水質浄化計画」が記されており、同じ理念が今日も息づいている。
岡田純明氏(天野山CC)は、「自然の輪郭を切り取らず、プレーと環境が共鳴する場を目指す」と語り、環境への配慮を理念としたクラブ経営を示唆している。この試みは、ゴルフ場という批判の対象が、自然修復の舞台へと姿を変えることを示した象徴的な出来事であった。
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